第26話 野蛮な地球人


 神界に帰れなくなった、アナスタシアは泣き喚いた。煩くてうざくて、何度も結界の外に捨てようとしたが、その都度光一やレイ先生に止められた。


『あーん! 神界に帰れなーい!』


「あのよお……お前、光一の家に置いてもらえるんだからちっとは大人しくしろよ。良い歳こいてびーびーびーうるせえよ」


『おのれ悪魔めえ! 世界の破壊者め!』


「俺は、某通りすがりのカメラ小僧のライダーかよ」


『何で、どうして、私の神気が回復しないのよ! あんたのせいでしょ!』


「ーーーその時奇跡はおこった」


『奇跡が起きたていで、私を追い出そうとしてんじゃないわよ! 起きてないわよ! 奇跡で何でも解決できると思ってんじゃないわよ!』


「お前のネタに合わせたんだろうがよ」


 全く、R○は最強キャラなんだぞ。最終的に奇跡でゴリ押しできるからな。せっかくナレーションの真似までしたのに。


『しょーもないネタすんじゃないわよ! 消されるわよ!』


「それこそ消されない奇跡を探そうぜ」


『きいー!!!』


 猿みたいに怒ってるな。帰れなくて余裕がないんだな。


「はあ、洋一アナスタシア様で遊ぶのはやめなさいよ」


「いやー上手いこと追い出せないかなって思ってさ。蘭何か良い案ない?」


『聞こえてんのよ! 目の前で追い出す相談するんじゃないわよ!』


 あーもううるさいロリババア何だろ、神なんだし。ただのロリっ子なら匿ってやるがこいつが居ると厄介ごとの匂いしかしないから、可及的速やかに追い出したい。


「とりあえず、出て行ってくれない?」


『出てったら直ぐ死ぬわよ! 神気が無い私は、ハンバーガーの肉抜きみたいなもんよ! スカスカなのよ!』


「お前地球に詳しすぎだろ」


 レイ先生は、アナスタシアが女神だって聞いてから、何故かアナスタシアにひたすら土下座していた。レイ先生を、隔離するしかなくて面倒だったんだぞ。


「お前がいたら、又コポオちゃんとか来ちゃうだろ。他所行けよ、紗香さんに悪影響だろうが」


『悪影響って何よ! ってかあの子! 私が封印してから神気纏って私より神みたいじゃない!』


「あっ良いねそれ、女神は紗香さんに交代! お前はどっかで霞食って生きてろよ」


『交代できるかああああああ!!! 霞食って生きるとか私は仙人じゃないのよ!!』


 こいつ弄りがいがあるなー。ツッコミスキル高過ぎだろ。


「アナスタシアって女神なんだよな?」


『そうよ!』


「じゃあチートくれよ」


『無理よ!』


 即答かよ、チートよこせよ。俺TUEEEさせろよ。


「何で?」


『チートは私が担当した転移や転生した人達にしか渡せないのよ。それにほいほいチート何て渡してたら世界が破滅するってーの!』


「ふーんつかえないな」


『きー!! あんた達は知らないでしょうけどね! アスベルク王国がこっちに向けて忍びを放ったのよ! やられちゃえば良いわ!』


 忍び? 忍者いるのか? もはや何でもありだなこの世界。


「アナスタシア様、何故忍びが? そもそも魔力大活性の影響で魔境化してるんじゃないんですか?」


 そう言えば魔王も逃げ出すレベルになってるんだよな? なら辿り着くの無理じゃね?


『私の転移者だから余裕なのよ!』


 ん? こいつ今何て言った?


「おい、お前この世界に何人地球人放り込んだ」


『ぴゅーふーぴゅーふーぴゅー』


 下手くそな口笛でごまかそうとしているな。ならこっちにもやり方がある。


「畑仕事と素振りで鍛えた握力が炸裂するぜ! 喰らえ、必殺のアイアンクロー!!」


『いだああああああい! はなしゅて! はなしゅてよー!!』


「言え、何人だ。後は性別と年代だ。10代か20代か30代か」


『そんな、詳しく覚えてないわよ! 勇者召喚がこの世界にはあるんだから全部把握何てできないわよ! 私の管理の範疇を超えてるのよ! どー言うわけかこの世界色々な世界の人が集まりやすいのよ! それに過去に勇者召喚された人は一部を除いて、寿命で死んでるわよ!』


 アイアンクローの力を強める。


「お前の管理している世界だろ、頭捻り潰すぞ。お前が送った人数は何人だ」


『いぎゃああああ最近ではさっ3人でひゅ!!!』


「そのうちの1人の忍者がここに来ると?」


『そうでひゅ!』


「何故来る?」


『魔王をたおしゅために!』


 魔王を倒すってまさかこいつ……。


「魔王を指差してみろ」


 また俺を指差しやがった。ムカつくから指を逆に曲げてやる。


『ぎゃあああああああ痛い痛い痛い!!』


「この糞バカがあああああ! 何してくれてんだよ! お前ノリで神託したんだろ? 魔王が居るから倒してちょんまげーとか言ったんだろ!」


『しょ、しょげな事はなかとですたい……』


 変な訛りでごまかそうとしてやがる。俺が魔王じゃないって認めたくせに、性懲りもなくまた魔王扱いしやがった。


「貼り付けて結界の境界線に晒しておく。お前が貼り付けにされてりゃ忍者も帰るだろ。結界は抜けられない訳だし」


『おっおたしゅけおー!』


「洋一、それを見られたら誤解が解けるどころか魔王認定されるよ」


『あっあの時はどうかしてたんでしゅ…… ……やけくそだったんです、もう1人の転生者は神託を告げたら、殺すぞって言うし。光一君は農夫だし、忍者の子に話したら、面白そうでござるー! って言ってくれたからだから!』


「おい、お前1人やたら交戦的な奴がいるがそいつ大丈夫なのか?」


『あの人はモンスターを狩る事が趣味で、何故か私を恨んでるんでしゅ』


「そりゃ恨まれるわ、光一だって相当不満が溜まってだろーが」


『光一君も私を殺す気!? 』


 怯えた目で俺と蘭を見る


「はあ、光一はそんな事しませんよ。恩気を仇で返すような子じゃないですし」


「俺はぶん殴る位はいいと思うがな」


『地球人は野蛮だよおおおお!!』

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