第15話 働きたくない
最近来た、魔王の眷属の哀れなコポオちゃん。蘭が手加減したとは言え消滅しなかったのは中々の強敵だったな。
リュイも足止めしかできないって言ってたけど四天王より精霊のが弱いのかな? ゲームだと精霊のが強そうだけど。ファンタジーは現実だと世知辛いな
「光一、ファンタジーってさ小説や漫画やゲームいわゆる物語だと楽しいけど、現実になると厳しいよな」
「そうですねゲームの世界なら盗賊とか倒したりできますけど、人を斬るなんて出来ないし。捕まえたら何で生かしてるんだと、罵詈雑言浴びせられるし。それに生き物を殺すのも辛いし、正直魔物だからって探し出してまで殺すのは辛いです。人に被害を及ばない様にって意味なんでしょうけど。物語の主人公みたいにレベル上げの為には仕方ないとか思えないですよ」
「おっおう」
らーん! やばい! 光一がダークなオーラを垂れ流してる! 闇落ちENDまっしぐらだ! ヘルプミー!
「それにですよ、この世界亜人差別がある国もあるし、奴隷は居るし、獣人は何処でも差別されるみたいだし。こんなファンタジーなら糞ゲー過ぎて誰も買いませんよ」
あっ部屋の隅でアナスタシアが膝を抱えて、耳を塞ぎながら泣いてるぞ。仮にも自分が神として存在してる世界を自分の信徒に全力で否定されたからか、哀れな奴だな。
「一番許せないのは、魔物の見た目がグロいのばかり! もっと可愛い魔物とかいたっていいじゃないか! トイレはボットんばかりだし、風呂が普及してないのが一番酷い! 知ってますか? 皆んな水浴びですよ? 水浴び何て頭おかしいですよ! 冬場に水浴びした人が死んだりしてるんですよ! 」
「冬場に水浴びは心臓麻痺しちゃうからな…………」
デスノー○も形無しだな。
「医療体制も無い世界に、民間人を送り込むとか頭おかしいんですかって話ですよ! 回復薬ありきなのもおかしいし、回復薬はめちゃくちゃ高いし民間人は苦しんでるんですよ? 」
「確かに頭おかしいよな。回復薬を安くして、神官連中は無料で回復するよう、神託でも何でもすりゃ良いんだよな。バカな神が無責任な世界を作るからこうなるんだよ」
「本当それです! 無責任極まりないですよ! そもそも自分の世界の事を異世界人に任せるのが間違い何です! そんな世界滅んでしまえばいい! 」
マシンガントークだな。俺も確かに熱くなったけど、相当ストレス溜まってんだなあ光一の奴。
アナスタシアに矢が刺さりまくって、今にも消えてしまいそうだぞ。
『あはははこんな世界滅んじゃえー』
神が言っちゃダメな台詞ナンバーワンだな。
「はあ。何やってんの二人共、アナスタシア様のライフはもうゼロ以下だよ」
「俺はずっと気付いてたけどな」
「アナスタシア様! 違うんです! いや違わないんですが、不満と言うかストレスが限界と言うかその……」
光一は慌ててフォローしてるが追い討ちになってるな。
『良いのよ、こんなゴミみたいな糞虫以下の世界でごめんなさい、神界に帰りますね、探さないでください…………』
神界何て探しに行けるわけないだろ。あっ消えた。
アナスタシアが帰ったから魔族ももう来ないだろ。あいつが原因だしな。
「一件落着、神の癖に気軽に下界に来んなよな」
「アナスタシア様あああ!! 誤解じゃないけど誤解なんですう!! 」
光一が空に向かって叫んでる、家の中心で愛を叫ぶ的な感じか、うん青春だな。
『コーイチってあれだよね、空気読めないバカなんだね』
「言ってやるなリュイ彼はまだ若いんだ」
『ヨーイチは見た目だけ子供なオッさんの癖に生意気ね。それにヨーイチは敢えて乗っかって攻めまくってたでしょ』
「オッさん言うな、今は少年だ。それに心は14歳だ!」
全く失礼な奴だな。厨二病は傷つきやすいんだぞ?
「洋一、頭大丈夫? 」
「ぐぬぬぬ、そういや光一って転移とか出来んの?」
「はあ、はあ、出来ないですよ。この脚で走って逃げましたから」
何処から逃げてきたかわからんが、すげえな。
「脳筋タイプだったか。中身はガリガリなのに。転移が出来れば光一の生活用品買いに行くついでに町を見たかったが」
「町は嫌だ、人は嫌だ、異世界人怖い」
まっまずい、異世界人アレルギーが発動しやがった。光一がガタガタ震えてる。ちょっと面白いな
「まあでも金が無いから町に入れねえか、それに門番がいて、金が無いなら冒険者でもやりなって言ってギルドに行かされて絡まれてボコボコにされる未来しか俺には無いしな」
「洋一嫌に具体的だね」
そりゃその手の漫画や小説好きだからね。
「チートがありゃ、何とかなるんだろうけどチートが無いから奴隷落ちが良いとこだ」
「ボコボコにされる前に私が助けるけど」
優しいが優しいがそう言う事じゃないよだよ蘭よ……。
「人が襲われてるのを助ける光一パターンもあるけど、こんな森深いところ何て人来ないしな」
こんな森じゃ誰も来ない。レイ先生がレアなだけで。
「ダンジョンとかあったらいつか行ってみたいなー。宝探ししたいじゃん?」
「洋一はすぐ死んじゃうからダメだね」
「ダメってそんなあ……」
宝探ししたいんだけどなあ。
「そんなあって言われてもねえ」
「ダンジョンは憧れますよね、僕は戦いたくないから行かないけど。宝探しは男の浪漫ですよね」
流石光一男だな! アレルギーから立ち直ったのか。
「だよなー光一! 宝探しは浪漫だよなあ。偉い人にはわからんのですよ」
『宝探しねえ、何が良いんだか。ヨーイチ達の世界にはダンジョン無いの?』
「無いよ、魔物もいないし。魔法や魔物は創作物の世界でしかないな」
『平和で良いじゃない、魔物何ていない方が良いわよ』
「憧れてたんだけどさ、実際見たらいない方が良いわな。ドラゴンも見たけど、乗れないだろうし。好戦的な化け物だし。ただ肉はめちゃくちゃ美味いけど」
「ドラゴンに僕は会った事ないなあ、遠くを飛んでるのは目撃したけど」
「あいつら知性はあるけど、基本的に直ぐに攻撃してくるぞ。仲間になる選択肢0だ」
ドラゴンは凶暴だからな。
「物語だと、優しくて聡明なイメージが多いけど違うんだね」
「基本的に人間=餌だからな。こっちからしても美味い肉だけど」
「食うか食われるか何だね。やっぱりこの世界嫌だなあ」
「平和的解決何て基本無いからな、女神だっていきなり罪の無い俺に殴りかかってきたんだぞ?」
「あ〜」
光一が女神の蛮行を思い出し頭を抱える。
「基本的にこの世界を作った奴の性質が歪んでるんだろうな、穴だらけの世界だ」
「地球だって完全じゃないけど、日本は平和でしたしね」
「とりあえず俺達は此処で優雅に暮らそう、税金何て払いたくないし、働きたくないし」
「あはは僕も戦いたくないから洋一君に賛成!」
『典型的なダメ人間達ね』
そりゃ働きたくないだろーに。税金とか嫌だし。あっでも鍛治師とかは見てみたいなあ。装備とか作るのみたいしなあ。
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