手違いで地獄に堕とされた受験戦争敗者は獄階B1階に居る閻魔サマに物申しに行くそうです。
@Ketos
第1話 受験戦争敗者 地獄行き
みんなは鬼ごっこは知っているだろうか。鬼を一人決める。そして、鬼になった子が他の子を追いかけてタッチしたらされた子と鬼が入れ替わるあの最もポピュラーと言っても過言ではないあのゲームだ。
俺は今、18歳にもなってその鬼ごっこをしている。相手が鬼で、この鬼ごっこに参加している子は俺とその子だけ。でん返しは無し。
…え?でん返しを知らない?でん返しっていうのはタッチされて鬼になった子が直前まで鬼だった子にタッチし返すことを指すんだ。要するに現在二人でしている鬼ごっこで俺がタッチされてしまうとでん返しなしのルール的に俺も負けが決定してしまう。だけども、俺が鬼になることはない。なぜなら
奴の『でん』は2mの棍棒を『ぶん』だからタッチと同時に俺はぐちゃぐちゃの血みどろになるんだ。だから俺は鬼になる前に死ぬので鬼になることはないのだ。
言っていなかったか?そうか、さっきから言っているもう一人の子とは身長3m越えの赤鬼のことだ。
つい先ほどのことだ。受験のとあるサイトにて合否を確認しようと俺は学生服のポケットからスマホを取り出した。二回の公募推薦と一回の一般入試に落ちた俺はこの二回目の一般入試に命が、俺の人生がかかっている。もしも落ちていたら俺はこの1月末から就職活動を始めなくてはならない。浪人を許してくれるような親ではないし、俺自体、浪人できるような気力を持ち合わせていない。予備校に通いながらバイトをするくらいなら俺は就職を選ぶ。そんなことを考えながら自身の受験番号を入力した先のページに書いてあった言葉、
ー
私立〇〇大学××学部△□学科 不合格ー
その言葉を見てからの記憶はなく、気がつくと俺は何らかの行列に並んでいた。
ー…引き…回…罪…階送り。
ー…殺し…人…罪…階送り。
ー…国…税…罪…階送り。
遠くからしゃがれた声が聞こえてくる。また、そのしゃがれた声が発する言葉も無気味な言葉ばかりで気味が悪い。
(早く帰りたいな。でも帰ったらお母さんに落ちたことを報告しないといけないのか…憂鬱だなぁ。)
なんて考え事をしていたらあれだけ並んでいた人達がほとんどいなくなり、もう間もなく自分の番だ。指定校推薦で合格を貰った友人が面接はすごく緊張したと言っていたがこんな感じだったのだろうか。
ー…逃げ…無し…罪…階送り。
今更だけどこの行列は何なんだろうか。俺は一体何を待たされているんだろう。
ー次、父鬼。
俺か。
ー父鬼 雄大 。
雄大?
ー類稀なる才能を悪き事に用いて3450人という前代未聞の大量殺人を引き起こした愉快犯。殺人罪。
は?人殺し?そんなことしてないって。それに3400人も殺すなんてありえないし出来やしないって。
ー貴様が暮らしていた国の民らの目を欺くことは出来ても地獄の主たる我の
そもそも俺は雄大じゃなくて父鬼…
次の瞬間、俺にとんでもない浮遊感が襲いかかってくる。真下には熱々に燃え盛る真っ赤なマグマがお前の罪を溶かしてやるぞと言わんばかりにグツグツと音を立てていた。
ードボン
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