人生何が起こるか分からない。空から可愛いメイドさんが降ってきた

仲仁へび(旧:離久)

第1話 人生何が起こるか分からない



 人間生きてると何が起こるか分からないよな。

 天文学的な確率で宝くじにあたったり、生き別れの兄弟と再会したりする輝石があるんだから。


 今までの俺はどこか半信半疑だった。


 運命とか、奇跡とか。

 そんなもんあるのかよって。


 テレビや物語で、紹介されてるそんな話を聞く度に疑ってたぜ。


 でも、本当にそういうのってあるんだよな。


「きゃぁぁぁ――――っ!」


 頭上から女の子の悲鳴。


 視線を上に向けようとした俺は、その場で何かに激突されて気を失ってしまった。





「大丈夫ですか」


 目を開けると、メイド。


 俺の頭上に振って来たのは、メイドの女の子だった。


 ふわふわフリルの、真っ白なメイド服を着た、白銀の髪の少女だ。


 外国人かな?


 疑問に思っていると。


 メイド少女は俺に向かってまくしたててくる。


「私を助けてください。悪い人から追われているんです!」

「おうっ、任せろ」


 あまりにも理想的な展開すぎて、つい了承の言葉を口にしていた。


 もうちょっとよく考えようよ、俺。


 こんな見るからにあやしい女の子、何かあやしい裏があるに決まってるだろ?


 平凡な俺が、こんな可憐なメイド少女に助けを求められるほどの、甲斐性オーラ出せてるのか?


 俺は、メイド少女の肩を掴んで苦渋の選択を下した。


「悪いけど、俺はただの一般人なんだ」


 他をあたってくれない?


 最後まで口にできなかった。


 見ると、好みドストライクなかわゆいメイド少女が、かわゆいおめめをウルウルさせている。


 えっ、何この子!

 よく見てみると滅茶苦茶俺の好みじゃん!


 はかなげな表情。

 光を放つ白銀の髪。

 すがるような光を放つ、ルビーの様に赤い瞳。

 真白のようなすべすべの肌。


 ごくり。


「助けていただけないんですか? ご主人様ぁ」

「よし、全て俺に任せろぉぉぉ!」


 はっ、だから落ち着け俺。


 気が付いたら身の丈に合わないセリフを叫んでいただと!


 メイド属性の魔力、おそろしい。

 このままだと俺は、メイドにはまってしまいそうだ。


 でも、男だったらこんな時こそ格好つけたい!

 こんなかわいい子にご主人様なんて頼られたら、頑張らないわけにはいかないじゃないか。


 俺は自分の胸をドンと叩いて、できるだけ頼りがいのありそうな笑みを浮かべた。


「俺の名前は山田山小太郎やまだやまこたろう。可愛い御嬢さん、貴方のお名前は?」

「ピクシーです」


 ピクシー。

 空から舞い降りた妖精のような、可憐なメイド少女にはふさわしい名前だ!


 俺はピクシーと名乗ったメイド少女の手をとった。


「俺がいるからには何も心配はいらない! 君の笑顔を曇らせる障害は全て取り払ってあげよう」

「素敵、ありがとうございます。ご主人様!」


 うっとりとほほ笑むピクシーは、希望の光を瞳に宿した。

 うわぁ、笑った顔かわいー。瞳きらきら、見とれそう。


 この女の子の為なら、何でもできそうな気がする。


「ピクシーがいたぞ! 逃がすな!」

「ターゲットカクニン、ホバクニンム続行!」

「ギャウギャウ!」


 すると、黒光りする鋼鉄の物を持ったあやしげな黒服たちと、両手をマシンガンにしてSFロボットと、人語を介さない炎を吐く巨大な獣がこちらを補足。


 いっしょくたんになって、追いかけてきた。


「ひぃ! ごめんなさい、俺は無関係なんです! 恰好付けただけなんです」

「ええっ、待ってください! ご主人様!」


 主人公になれそうな気分を味わっていた俺は、一気に現実へと引き戻された。


 うん。

 この展開は、俺にはまだ早い。

 身の丈に合わない行動って、皆を不幸にするもんね。


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人生何が起こるか分からない。空から可愛いメイドさんが降ってきた 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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