第260話 副将軍

俺とジャイアントハーフの聖騎士リン、ブラックジャガー獣人のノワ、剣聖ルイ、コボルトアサシンエンペラーのコウキの5人は、サトウ国が占領したオトキ帝国マトシ領の領都ロイケブクに来ていた。


対帝国戦の総責任者である将軍イサミに戦況を聞き、激戦になりそうな戦場を確認したら、キョウブン領を経由し直接王都ダチヨを攻める作戦もあるらしい。


「直接王都ダチヨか! ほほう、それは面白い。もうダチヨに行っちゃうか!!!」


って俺が言ったら……。


「それならキョウブン領を直ぐに落とす事にします」

なんてイサミが言い出して……。


「おい、副将軍達を呼んで来い!」

近くに控えていたゴブリン兵に命令するイサミ。


「副将軍?」

俺はちょっと考える。そんな役職あったっけ? 誰だろう。本当は待つ必要はない。


軍隊で進軍する事は考えていないからだ。俺達5人だけで行こうと思っていた。軍で攻めたら時間が掛かってしょうがない。


だけど、副将軍が気になるので待つ事にしよう。


元領主の執務室のソファーに座って待つ事数刻。執務室に入って来たのは……。


「タクミ様ああああ! ご無沙汰しております。オーガのオガオです。今は副将軍をやらせていただいています!」


と言って跪くオガオ。


ああ、こいつか。リトットに行く途中で会ったオーガの盗賊のリーダーだったヤツだ。


副将軍らしい豪華な服装に身を包んだ体格の良いオーガ。神眼で確認したらオーガエンペラーに進化していた。


身に纏う魔力と存在感のある雰囲気からして、進化しているとは思っていたが、そうかあ、エンペラー種にまで進化していたのか。


相当頑張ったんだろうな。


その隣には……。おお! 袈裟懸けだ!


レッドデビルベアの袈裟懸けもエンペラー種に進化していた。


熊なのに動きを邪魔しないように、所々金属製やモンスターの素材で強化された鎧を来ている。


「オヒサシブリデス」


「おや? 袈裟懸け、話せるようになったのか」


「ハイ。エンペラーシュニ ナッテ コトバヲ オボエマシタ」


「それは、良いね。宜しく頼むよ」


「ハイ。オマカセヲ」


「オガオ、袈裟懸けご苦労。タクミ様がダチヨを攻めるそうだ。露払いでキョウブン領を落としてくれ」

イサミがオガオと袈裟懸けに伝える。


「ハイ。カシコマ──」


「ああ、ちょっと待て。俺達はキョウブン領を攻め落とすのを待つ気はない」


「え?」

驚くイサミ。


「キョウブン領を攻めるのは構わないが、俺達は直接ダチヨに乗り込む」


「はあ? まさか5人でですか!」


「そうだよ。その方が早いだろ? 軍で行ったら遅くてしょうがないぞ」


「い、いや……。えええええ! 5人でダチヨを落とすのですかあああああ!」

更に驚くイサミ。


「サスガ タクミサマデス」

「うはぁ! 相変わらず半端ないですな」

袈裟懸けとオガオは尊敬の目で俺を見ていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る