第258話 聖剣エクスカリバー

帝国の勇者ハヤテ達は、魔王ソロモンの召喚した悪魔達に敗れた。


「くくく、儂の実力を間近に見てどうだった。逆らう気もおきなくなっただろう」


と魔王ソロモンが俺に言うが、俺は黙って聞いている。


確かに悪魔達は強かったし、勇者達は為す術もなくやられた。


けれどもだ。


魔王ソロモン自身の力は召喚しか見てないんだよなぁ。


ハヤテ達にもっと頑張って欲しかったな。


はぁ……。


「言葉もでないか。まあ、良いか。同盟を結ぶ事になったからな。頼んだぞ」


と言って魔王達は去っていった。




俺達は勇者ハヤテ達の遺体を集め火葬する事にした。


このままここに放置するのは可哀想だからな。


穴を掘って遺体を穴に入れて、火をつけて燃やした後、埋めるだけだけどね。


コボルトアサシンエンペラーのコウキやブラックジャガー獣人のノワ、剣聖ルイ、ジャイアントハーフの聖騎士リン達4人と、穴を掘りハヤテ達の遺体を運んでいたら……。


ん? ……。


これって……。聖剣!


ハヤテの千切られた右手が聖剣を掴んでいた。


おお、魔王ソロモンは気付かなかったのか。これは貰っておこう。


「聖剣ですか?」

剣聖ルイが俺に尋ねた。


「そそ、誰も気付かなかったみたいだね。貰っちゃおうかな~。って思ってる」


「聖剣って勇者しか使えないんですよね?」


「ふ~ん、そうなの? でも、勇者以外の人も持てる事は持てるんでしょ」


と言ってハヤテの聖剣を手に取った。


聖剣が淡い光を発する。


「え! 聖剣が光った。やっぱりタクミ様は勇者だったのですね!」


慌ててルイの口を塞ぐ。


「ちょっと、あまり大きな声は出さないでくれるか。それからこの事は他の人には内緒だぞ」


「は、はい……」

と言いながらルイはキラキラした目で俺を見ていた。


さて、聖剣はどんな機能を持っているのかな? 転移の機能だったら嬉しいんだけど。


俺は聖剣を神眼で見た。


お! 


名前は聖剣エクスカリバーで、なんとステータスが大幅アップするらしい。


成る程、こんな聖剣を持てば召喚直後でも、パワーもスピードもあるし、更に転移のスキルがあれば無双だ。


ハヤテがあんな性格になっちゃったのも分かる気がするよ。


良いものを手に入れたぞ。


俺は聖剣エクスカリバーをアイテムボックスに収納した。


俺が聖剣を見ている間にリン達は、勇者ハヤテ達の火葬を終わらせて、俺の元に集まった。


「ご苦労様、一度戻って帝国と戦うぞ」


「「「「はい」」」」


俺達5人はコウキの集落に戻り、ワイバーンに乗って、マサイタ王国に戻った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る