第253話 勇者ハヤテVS魔王ソロモン

魔王ソロモンから連絡があった。いよいよ勇者ハヤテと戦うらしい。


俺とジャイアントハーフの聖騎士リン、ブラックジャガー獣人のノワ、剣聖ルイ、コボルトアサシンエンペラーのコウキの5人は、魔王ソロモンのもとに向かった。


指定された場所は魔王城近くの荒れ地。


「もうすぐ勇者達が現れますよ」


青白い馬に乗り蛇の尻尾を持つ屈強な男。

魔王ソロモンの72柱の1柱であるバティンが話し掛けてきた。


魔王ソロモンと数柱の悪魔達が待ち構えているのを、ちょっと離れた場所から見ている状況だ。


「そうか……」


俺達は魔王ソロモン達の視線の先を見ていると、勇者ハヤテご一行が現れた。


「お前が魔王ソロモンかあああああ!」

勇者ハヤテは正面で迎えた魔王ソロモンを睨む。


「如何にも儂が王の中の王、魔王ソロモンだ。ハヤテ、よくも儂の国民達を問答無用で殺してくれたな。その上、儂の兵達が現れると転移で逃げる卑怯者よ。いつまでもこの国でお前達を自由にさせる訳にはいかん。今日は逃げられると思うなよ」


「ふん。魔王を倒すまでに無駄な魔力を使いたくなかっただけだ。お前こそ、手下のモンスター達の影に隠れて姿を見せない卑怯者だろ。それと、国民……、笑わせるな。ゴブリンやコボルト、オーク、オーガなどのモンスター達が国民とは片腹痛いわ」


「なんだとおおお! 貴様あ! 許せん」


ん! ハヤテの野郎何ぬかしてんだ。


「おい! ハヤテ、ゴブリンだってコボルトだって意志疎通出来るし、国によっては国民になっているのを知らないのか?」


思わず、ハヤテに話し掛けた俺。

隣で頷くコウキ。


「げっ!! タクミ!!! 何故ここにいる。お前は魔王の手下なのか?」


俺を見て、俺がここにいるとは知らなかったハヤテは驚き震えていた。


「手出しはしないから安心しろ。魔王と勇者の戦いを見届ける為にここに来た。それから、魔王の手下ではないぞ。俺が帝国と戦う事にしたので、敵の敵である魔王国とサトウ王国は同盟を結んだのだ」


「同盟だと! お前は人類の敵になったのか、コボルトと一緒にいるからおかしいと思ってたぞ」


ハヤテは絶望の表情を浮かべ。


「 どういう事ですか! よりによって魔王と手を結ぶなんて……」


第三王女ミフジは嘆いた。


「俺はタクミと争う気はない……」

そしてボークは後退る。


「ハヤテ、いいから答えろ! ゴブリンやコボルト達亜人は意志疎通が出来る。文化的な生活が出来る人種で、俺の国でも大切な国民達だ。それなのに問答無用で殺したのか?」


「ゴブリンやコボルトはモンスターだ。人に害をなす存在だ。見つけたら殺すのは当然だろう!」


はぁ、確かにゲームではそう言う物もあるが、実際に会って話して判断出来ないのかね。


「ハヤテ、お前にとって人類ってなんだ? 人間だけか? エルフはどうだ? ドワーフは、獣人は、妖精は、神獣は仲間なのか敵なのか?」


「人類って言ったら人間に決まって……、エルフ? 味方だよな? ドワーフも……、獣人は……」


ハヤテは自信無さそうにミフジを見ていた。

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