第252話 帝国の勇者ハヤテ5
ここは、魔王国のとある町にあるコンビニ。
入り口からフードを目深に被った5人が入って来た。
「いらっしゃ~い!」
オーガの店員が声をかけた。
5人の内一人が店員の前に進み出て、他の4人は陳列された商品を物色している。
フードを目深に被った男が腰に差した剣を抜いて、店員に突きつけた。
「おい、食料は貰って行く。大人しくしてろよ」
「なんだと! てめえ舐めてんのか? 俺が誰か知らねえのか! こう見えても──」
オーガの店員が男の剣を払いのけながら、男を睨みつけて啖呵を切ろうとしたが……。
「どりゃああああああああ!!!」
フードを目深に被った男、勇者ハヤテは聖剣でオーガの頭を縦に両断した。
「はあ、はあ、はあ……。ちっ! 口答えしねえで大人しくしてやがれ。おい、食料は奪ったか? 早めにずらかるぞ」
そして勇者ハヤテの仲間達は、棚に陳列していた食料をアイテムボックスに収納していく。
「たっぷり奪いました。当面は大丈夫でしょう。これで魔王城まで、食料は持ちそうですね」
常闇のボークがハヤテに応える。
「行くぞ!」
勇者ハヤテ達はそそくさとコンビニから逃げ出す。
「コ、コンビニ強盗だ……」
バックヤードから顔を半分だけ出して、震えながら一部始終を見ていたコンビニで働くゴブリンの店員。
「良し! 町を出るぞ!」
颯爽?と、コンビニを駆け出す勇者ハヤテのご一行。
それを見てゴブリンの店員は防犯ブザーを鳴らした。
駆け付ける魔王国の警備会社「クアルソ」の警備員達。
「強盗だあああああ!!!」
黒い軽鎧を身に纏う警備員がどこからともなく集まってきた。
「ちぃ! 面倒な事になっちまった」
前方から駆け寄る警備員達を見て、立ち止まり舌を鳴らす勇者ハヤテ。
「どうします?」
影から闇の触手を出しながらハヤテに問うボーク。
「余計な魔力は使いたくねえが……」
振り向くと後ろからも駆け寄る警備員を見て、ハヤテが呪文を唱えた。
「……転移!」
一瞬で消えた勇者ハヤテのご一行。
「くそっ! 逃げられたか」
勇者ハヤテがいなくなった場所を睨んで、独り言を言う「クアルソ」の警備員。
その後ろには勇者ハヤテ達の指名手配の張り紙が貼ってあった。
─WANTED
DEAD or ALIVE
REWARD 10,000,000─
その張り紙の勇者ハヤテの似顔絵は、満面の笑みを浮かべていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ああ、やっと飯が食える」
ガツガツとおにぎりを食べるハヤテ。
「本当、先が思いやられるわぁ……」
サンドイッチを食べる第三王女ミフジ。
(これでいいのか……?)
菓子パンを食べて、ブラックコーヒーを喉に流し込むボークは索敵をしながら疑問に思うのであった。
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