第246話 コウキ
俺とジャイアントハーフの聖騎士リン、ブラックジャガー獣人のノワ、剣聖ルイの4人は、ワイバーンに乗って空からギミヤ王国に来た。
流石に飛行に特化した翼竜だ。その速度と飛行高度はヒッポグリフとは比べものにならない。ヒッポグリフも充分速いんだけどね。
但し、数時間で行ける距離ではない為、行く途中で、サトウ王国の傘下に入った獣人や亜人の集落に泊まりながら進んだ。
そして、ワイバーンはギミヤ王国とテイワ王国の境にあるコマクリ山の集落に到着した。
山の中にあるその集落には、コボルト、ゴブリン、オーク、オーガなどの亜人が住んでいた。
あらかじめ俺達が到着する連絡が行き届いていたようで、集落の中央の広場には整列して出迎えている。
その中央で整列した亜人達の一歩前に立っている漆黒のコボルト。
濃厚な魔力が溢れるそのコボルトは相当の実力を秘めているのが分かる。
歴戦の猛者。
俺がワイバーンから飛び降りると、そのコボルトが駆け寄って来た。
「タクミ様ああああああああ!」
「ひゃあああああ!!」
そのコボルトに驚き、ワイバーンから先に飛び降りていたルイは飛び退き、リンとノワは無言で見詰めていた。
そして抱きつこうとしたので、思わず躱した俺。
「タクミ様、酷いワン」
体勢を崩しながら俺を見て、泣きそうな表情を浮かべるコボルト。
ん? 聞いた事のある口調。
「もしかしてコウキ?」
「そうだよ、コウキだワン」
「おお! 暫く見ない間に成長したな」
俺はコウキの頭を撫でた。
「えええええええええ!!! タクミ様、そのコボルトは普通じゃないですよ」
俺とコウキの様子を見て、恐る恐る近付いてくるルイ。
「進化したんだろ、コウキ」
「はい。『コボルトアサシンエンペラー』に進化しました、ワン」
「コ、コボルトアサシンエンペラー!!! それって前に会ったゴブリンキングより数段上の種じゃないですかああああ!」
ルイは驚きの声を上げた。
「コボルトアサシンエンペラーは、通常のコボルトエンペラーより強力な種で、より探索や暗殺に特化した存在で、この大陸に現れたのは……、確か百年ほど前と冒険者ギルドの資料にあった……。存在を認識出来る事が難しく、SSSランクの冒険者数名で犠牲者をだしながら、なんとか討伐したと……」
ぶつぶつ呟きながら信じられない顔をしているルイ。
「ほほう、随分強くなったみたいだな。頑張ったなぁ」
俺はコウキの頭を撫で続ける。
「頑張ったワン」
嬉しそうな表情で尻尾を勢い良く左右に振るコウキ。
その様子を笑顔で見守るリンとノワ。
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