第191話 ダンタリオン

俺達はマヒロシ王国の王城のバルコニーに、ヒッポグリフで降りながら、世間話っぽい会話をしていた。


割と余裕があるのだ。


「リン、『魔槍アムドゥスキアスの角』って長い名前だよね」


「そうですね。良い名前はありますか?」


「略してアムドゥスで良いかな?」


「承知しました。そうしましょう。魔槍アムドゥス……、良いですね」


ジャイアントハーフの聖騎士リンが、そんな事を言いながら微笑むと、俺達はバルコニーに降り立ち、ヒッポグリフに乗ったまま窓に向かう。


リンが魔槍アムドゥスを構えて、窓を貫くと、窓が窓枠毎溶けて、大きな穴があいた。


その穴をヒッポグリフに乗ったまま潜って城内に侵入した。


部屋に入ると、焦点が合ってない、目がいってる騎士達が待ち構えていた。


「こいつらって、ダンタリオンに洗脳? 魅了? されてるよなぁ」


「目が完全にいってますねー」

ブラックジャガー獣人のノワも余裕の表情だ。


リンのパラディンガードは強力だからねぇ。


騎士達が一斉に剣を抜いて襲い掛かってきたが、パラディンガードに弾かれていく。


「タクミ様ぁ、これどーしますー」

ノワが騎士達を指差す。


「取り敢えず無視で、ダンタリオンのところに行こうか?」


「はーい……」


「ノワ、ダンタリオンは、どこにいるか探知できるか?」


「分かりますよー、謁見の間ですねー」


「んじゃ、謁見の間に行くかぁ」


会話中も騎士達は無表情で剣で斬ってきたり、槍で突いたりしているが、全く問題ない。流石、聖騎士リンだねぇ。


ヒッポグリフが歩きだすと、前を遮る騎士達が弾き飛ばされた。


城の中をヒッポグリフに乗って、ノワ、俺、リンの順で堂々と歩き謁見の間の前に到着した。


「リン、やっちゃって」


「畏まりました」


リンは魔槍アムドゥスを構えると、謁見の魔の重い鉄の扉を突き壊した。


ドガン!!


「くっくっく、ヒッポグリフで来るとはなぁ」


王座に座るキオーガ……、に 掏り替わったダンタリオンは本を片手にこちらを見ていた。王座に続く赤いカーペットの両脇には 、目の焦点があってない騎士達が並ぶ。


「お前が悪魔ダンタリオンか?」


俺の言葉に苦笑いのダンタリオン。


「いかにも、魔王ソロモン72柱が1柱ダンタリオンだ。お前らは何者だ?」


「Eランク冒険者のタクミだ」

「その従者ノワよ」

「同じく従者で聖騎士のリンだ」


「Eランク冒険者? 従者? 馬鹿にしてるのか? 勇者タクミ!」


「お! 勇者ねぇ、初めて言われたよ。ダンタリオン、マヒロシ王国の次は、サトウ国に手を出そうとしてる様だねぇ」


「ふむ、成る程。それでここに来たか。タクミはサトウ国建国者だからなぁ」


ふーん、何だか色々バレテーラ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る