第162話 冒険者達のその後

城壁都市リシオジに戻った俺達。


俺とジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワの3人。


城門の前に避難していたマイーヤ村の住民達は、落胆し暗い表情だった。


「騎士隊がゴブリンに負けて、帰って来たんだってなぁ」

「俺達はいつまで、ここにいなきゃ駄目なんだろう」

「俺の家どうなってるのかな?」

「早く帰りたいよう」


自分達の村がゴブリンに占領されて、討伐しに行った騎士隊と冒険者達が敗退して、逃げ帰って来たからね。


心配なんだろうな。


もう既にゴブリン達はマイーヤ村から、撤退しているけどね。


俺達はそんなマイーヤ村の住民達を横目に通り過ぎて、城門に到着した。


そして城門を潜ると街中に入り、冒険者ギルドを目指す。


冒険者ギルドには、ルイが待っているはずだ。


冒険者ギルドの中は騒がしく、負傷した冒険者達が沢山いた。


「いてててて」

「全く骨折り損だぜ」

「くっそー、ゴブリンの奴らめ」

「いつの間にあんなに増えやがったんだぁ」

「あのゴブリンキング見たか?」

「あんなのがいるなんて知らなかったぞ」

「誰が調査したんだ」


冒険者達の愚痴を聞き流しルイを探す。


「ルイは2階にいる様ですねー」

ノワが教えてくれた。


「2階って言うと、ギルド長の執務室か?」


「そうですー」


俺達は受付嬢に言伝をして、ルイを呼び出して貰うようにお願いした。


すると、受付嬢が戻って来て、ギルド長の執務室に来て欲しいと言われたので、受付嬢の案内で執務室に向かった。


執務室に入ると、ギルド長と剣聖ルイともう1人冒険者っぽい男がいた。


ルイは俯いていたが、俺が部屋に入ると顔をあげ微妙な顔をしていた。


ギルド長は満身創痍の状態でソファーに腰を掛けていて、もう1人の男も怪我を負っている様だ。


「タクミ様、助かりました。情報をいただいたお陰で、冒険者は死者が少なく撤退する事が出来ました」


ギルド長は開口一番御礼を述べた。


「いや、仲間のルイの為だからねぇ、そのついでだし……」


「あ!ご紹介します。今回のゴブリン討伐において、冒険者チームの副隊長を務めた、Aランク冒険者のカシズオーです」


「俺はカシズオーです。タクミさんの事はギルド長からも聞いています。この度はありがとうございました」


「タクミです。この度は何と言って良いか……、残念でしたね」


俺はリンに振り向き、ルイ達の回復を指示した。


「リン、ルイ達を回復してあげて」


「畏まりました」


リンはギルド長達を範囲指定の回復魔法で、一気に回復させた。


「おお!こんなに一気に回復するなんて、凄い回復魔法ですな」

「ありがとうございます、これ程の回復魔法の使い手は初めて見ました!」


ギルド長は俺とリンに頭を下げてお願いして来た。


「タクミ様、申し訳御座いませんが、ギルド内には負傷した冒険者達が、沢山おります。報酬をお支払いしますので、リンさんに治療していただけないでしょうか?」


「リン、いける?」


「タクミ様の命令であれば、全員治療します」


「魔力量とか問題無いの?」


「全く問題御座いません」


「おお!そうか、それではお願いするよ」


「畏まりました」


リンは部屋から出て行った。


俺はルイを向いて告げた。

「さあ、ルイ、帰るぞ」


「は、はい……」

ルイはよろよろと立ち上がる。

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