第143話 城壁都市リシオジ

俺達はマイーヤ村とゴブリンの争いを無視して、ノナガ王国の都市リシオジに向かった。


地竜が引く馬車は山道を爆走して、リシオジに着いた。


リシオジは山頂部にある、山の地形を利用して築いた城壁都市。


都市に入る為に城門前に長蛇の列が出来ていた。その最後尾に馬車を着けた。


「冒険者証を見せた方が入り易いのかね」

と剣聖ルイに聞く。


「そうですね。商人ギルドの登録証の場合、入市料がかかって、何を売買するかと持ち込んだ商品を調べられますので、冒険者証の方が良いでしょう」


「ふむふむ」


「それと、亜人に厳しい国なので、私がリン様と御者を変わりましょう」


「ほう、そうかい。リン、御者をルイと変わって」


「畏まりました」

ジャイアントハーフの聖騎士リンが、御者席を降りると、ルイと交替した。


暫く進むと、城門前に到着した。


ルイがAランクの冒険者証を提示し、俺達もEランクの冒険者証を提示すると、すんなり都市の中に入れた。


流石、Aランク冒険者だね。


門番はリンとブラックジャガー獣人のノワの冒険者証を確認した時、嫌な顔をしていたが、想定の範囲だ。


ルイが地竜の馬車を預かれる宿を教えてくれたので、そこを目指す。


宿の名前は『癒しの宿』、なんと温泉宿なのだ。楽しみである。


『癒しの宿』に着くと、ルイにチェックインを任せてロビーで寛ぐ。


ルイがチェックインを終え、俺の向かいの席に座った。


「部屋は最上階のスペシャルルームを取りました。室内に寝室部屋は5つあります。また温泉も部屋にありますので、いつでも温泉に入れます。夕食と翌日の朝食は部屋で食べる事にしました」


「ご苦労様、温泉は良いね。とりあえず荷物はアイテムボックスに入っているから、このまま昼食でも食べに行くか」


「行きましょー」

ノワが立ち上がった俺の腕を組んだ。


ノワはお腹が空いてるのか積極的だな。


昼食は肉料理をたらふく食べて、食後に冒険者ギルドに顔を出した。


リシオジの冒険者ギルドは、時間的に閑散としていたので、絡まれる事もなく受付に行った。


「Eランク冒険者のタクミだ」

「同じくリンだ」

「同じくノワでーす」

「Aランク冒険者のルイだ」


冒険者証を提示した。


「数日この都市にいる予定なので、挨拶に来た、宜しくね」


「丁寧な挨拶ありがとうございます。私は受付のカスザです。宜しくお願いします」


カスザは人族の綺麗なお姉さんで、人当たりの良さそうな明るい感じだ。


「この辺りで何か注意する事があるかい? または、ニュースや情報があれば教えてくれ」


「実はつい最近マイーヤ開拓村がゴブリンの群れに襲われて、救援と避難の為に冒険者が出払っています。途中で危険はなかったでしょうか?」


お!情報が早いなぁ。通信の間道具的なもので、連絡をしてるのかな?


ルイはちょっと顔が青くなっている。


「ああ、ゴブリンに襲われてた子供を二人助けて、村に送ったが、群れは知らなかったなぁ。リンとノワを村に入れる事が出来ないと言われたので、村に入らずこの都市に来たよ」


このくらいも情報がいってるかも知れないしなぁ。


「ああ、ゴブリンから子供を助けた冒険者って、タクミさん達だったのね。村から報告がありました」

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