第137話 第一王子VS第二王子

マヒロシ王国の王城内にあるミータ第一王女の部屋で、カオーサ第一王子とミータ第一王女に国王が死んだ事を告げた。


「何ですって!お父様は、何処で亡くなったのぉ!」

立ち上がる第一王女ミータ。


ミータは護衛騎士を伴い、部屋の出口に向かうが、急に護衛騎士が気絶して転倒した。


ズダアアアアン!


俺が時を止めて、雷の杖で気絶させた。


立ち止まるミータ。


「まだ、答えを聞いてませんよ。」


俺はジャイアントハーフの聖騎士リンに目配せしながら、ミータ王女の前に立ち塞がり、低い声でミータを威圧する。


リンは出口を塞ぐ様に移動した。


「ひぃ。」

ミータは後退り、カオーサ王子が座っている場所の近くまで移動した。


カオーサ第一王子も立ち上がり俺を睨む。

カオーサの護衛騎士は剣を抜いて、カオーサの前に出て構える。


「タクミ!何のつもりだぁ!」

カオーサが叫ぶ。


「次の国王の考えを知りたい。」

俺は平然と立っている。


「やれ!」


カオーサの命令で剣を振り上げ、一気に踏み込む護衛騎士。流石第一王子の護衛騎士、その辺の騎士よりも数段速い踏み込み。


だが、時を止めれば同じだ。


首が落ちて不自然に転倒した。


ダダンッ!


「座れ!」


俺は威圧を込めて、カオーサ王子に強く命令する。


「貴様ぁ!何様だぁ!」

カオーサ王子には立ったまま俺を睨む。


その時・・・。


「私なら、国軍は悪魔討伐に向かわせて、サトウ国とは講和を結びます。」


リンの背後からキオーガ第二王子の声が聞こえた。


良いタイミングで入って来たかったらしいが、リンが扉の前にいて入ってこれなかったらしい。


「リン、入れてやれ。」


「畏まりました。」


リンが避けると、キオーガ第二王子と二人の護衛騎士が、部屋の中に入って来た。


「レクはどう考える。」

キオーガはレクに聞く。


レクは何が何だか分からず、わたわたしていたが、覚悟を決めたのか。


「俺はタクミさんと絶対敵対しない。従って、国軍に悪魔を討伐させる。サトウ国とは戦わない。」


「くっ。」

キオーガは顔を歪める。


キオーガはサトウ国と敵対する事が、俺の敵に回る事だと分かってるみたいだな。


「ははっ、馬鹿な!だから国政を知らない奴らはダメなんだ。サトウ国と戦争しないと言う選択は、国の重鎮達が納得すまい。」

カオーサは呆れた様子から、吐き捨てる様に言った。


「くくく、馬鹿はお前だ。状況を理解出来ずに、回りに流されると傀儡にされるぞ。そして王国は滅亡だ。」


キオーガはニヤニヤ笑いながら、カオーサを馬鹿にする様に言う。


「タクミ!何れにしろ、今すぐ決められる事では無い!後で正式に回答する。先ずは国王が亡くなったならば、即位戴冠し正式に王位に付く事が先決だ。そこをどけぇ!」

カオーサは俺に向かって大声で言う。


どうやらこの場にいると、命が危ない事を察して、一刻も早くここから立ち去りたいらしい。かなり焦っている様だ。


「カオーサ、相変わらず決断力が無いなぁ。それでは遅いのが分からんか、今直ぐ判断出来ない奴は王位には着けないぞ・・・。」


キオーガは哀れみの目でカオーサを見た後、俺の目を一瞬確認して、「やれ!」二人の護衛騎士に命令を下す。


キオーガの二人の護衛騎士、イカサとツホクセは剣を抜いて第一王子カオーサに向かった。


「おい、止めろ!私は王子だぞ!」


ブシュッ!


イカサの剣がカオーサ王子の心臓を突き刺した。


「ひぃ。か、カオーサぁぁ。」

第一王女ミータは腰を抜かして倒れて、恐怖で震えている。


キオーガはそう来たかぁ。なかなか侮れない奴だな。自分は俺の敵では無い事を確認して、俺が手を出す前に、自らの手で第一王子を殺して俺に貸しを作ったつもりか。


俺が第一王子も殺したら面倒そうだもんな。


そして、国王殺しも俺じゃない奴のせいにして、更に貸しを作るんだろうなぁ。


よっぽどレクよりは頭が回りそうだ。

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