第113話 第二王女ラナ

俺はジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワとともに、狩場である近くの森に向かう事にして宿を出る。


ドラゴンと悪魔の解体が終わるまで、時間がかかりそうだし、王都にいるとなんだか問題になりそうだからね。


地竜の馬車は宿に預けたまま、徒歩で門に向かっている。


しばらく進むと立ち塞がる女の子がいた。


「あなた!Eランク冒険者のタクミね!」


胸を張り右手で俺を指差し、左手を腰に付けて、足を開いて偉そうだ。


上等そうな新品の皮の鎧に身を包み、腰に剣を差している。


「そうだけど。あんた誰?」


「私はラナよ!」


「ふぅん。それで、何の用?」


「これから、ミーズ村に行くので護衛しなさい。」


「断ります。」


俺達はラナの横を通り過ぎようとしたら。


ラナは腕を俺の腕を掴んだ。


「待ちなさいよ!まだ報酬とか目的とか話してないわ!」


「断るので、聞かなくても良いよ。腕を離してくれないかなぁ?」


「駄目よ!目的と報酬を聞きなさい!」


う~ん。いきなり女の子に暴力を振るうのは、気が引けるんだよなぁ。


「こっちに来なさい!」


ラナは腕を掴んで、どこかに連れて行こうとするので、俺は腕を絡めて女の子の間接を極めた。


俺は格闘の最上級スキル『拳神』を持ってるからね、手加減して護身術を使いましたよ。


「痛いいたあああい!」


大声を出して手を離すラナ。


街の人達が「何だ何だ。」て言いながら、俺達に注目し始める。


「それほど痛くないでしょ?手加減してるしね。」


「あなたねぇ!か弱い女の子に何するのぉ!全く野蛮なんだからぁ。」


と言いながらニヤリと笑うラナ。


ん?この子は頭がおかしいんじゃないの。


「あのねぇ、私は王女なの!」


勝ち誇った顔で「どうだぁ!」と言う態度のラナ。


「だからどうしたの?」


何だかそんな気もしてたよ。


まさか王女とは思わなかったけど、貴族関係だとは思ってたね。


ラナは「あれ?おかしいぞ。」と思い始めている様だ。


「あのねぇ、王女に無礼を働いたのよ!普通は、『ははー。』って跪いて慌てて詫びるじゃない。」


「詫びなかったらどうなるの?」


「はぁ?そんな事も分からない馬鹿なのぉ?不敬罪で死刑よぉ!どう、跪いて謝りなさい!そうしたら、特別にミーズ村に護衛で同行するなら許してあげてもいいわ!」


「断る。」


「え!死刑になるのよ?」


「やれるものなら、やってみな。」


「あんたねぇ!デーモンスレイヤーだか、ドラゴンスレイヤーだか知らないけど、3人だけで、王国騎士隊に敵うと思ってるの?」


「お前 、馬鹿だろう?デーモンスレイヤーは、デーモンを倒した者で、ドラゴンスレイヤーはドラゴンを倒した者だって知ってる?」


「馬鹿?王女に何て口きくのよ。そんな事知ってるわよ。」


「はぁ、つまり悪魔よりもドラゴンよりも強いんだよ。騎士隊ごときが悪魔やドラゴンを簡単に倒せると思ってるの?」


「え!どういう事?」


「つまり俺をここで捕まえるなら、王都が壊滅する覚悟で来いって事だ。この事は国王やレクは知ってるのか?」


「し、知らないわよ。」


「今すぐ聞いてこい!タクミに手を出して敵対したから、捕まえて死刑にしてくれって、ちゃんと言うんだぞ。」


「え!え!」


「それで来るなら、全力で相手になってやる!」


「えええええええええ!」


ラナは慌てふためく。

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