第110話 第三王子レクと再会

俺とジャイアントハーフの聖騎士リンが冒険者ギルドを出ると、影からブラックジャガー獣人のノワが出現し俺に耳打ちする。


「冒険者ギルドを調べましたー。」


「おお、ご苦労様。宿で聞こうか。」


「はーい。」


俺達は一旦宿に戻る事にした。


宿の部屋にノワが盗聴防止の魔法を使い、ノワから報告を聞く。


「イサカ村の件ですがー。王家より異変の調査依頼があって、冒険者が調査した結果、村人が全員消えた様ですー。」


「消えた?」


「はい。今までそこに人が居たであろう痕跡がそのままで、人だけが誰も居なくなった様ですー。」


「ふうん、なんだかミステリーだなぁ。」


「みすてり?何の事か分かりませんが、どうやら冒険者ギルドでは、悪魔の仕業とかんがえている様ですー。」


「おかしいなぁ?召喚された時に神様から現時点では、魔王の脅威は無いって聞いていたんだけどね。」


「え!神託を受けたのですか?」


リンが過剰に反応する。


「神託と言うか、直接会話したよ。」


「神様と会話・・・。」


「まあ、魔王を倒さなくても良いよって神様に言われてるから、無理はしないけどね。」


「そうなのですか・・・。」


「取り敢えずあれだな?」


「何でしょう?」


「ノワ、王家も探ってくれ。」


「畏まりー。」


ノワは影に姿を消した。


「お茶を入れますね。」


リンが立ち上がりお茶の準備をし始めた時、ノックの音がした。


「どうぞ。」


俺がノックに応えると、初老の宿の従業員が入ってきた。


「レク王子が面会に見えました。宿の応接室にご案内しております。」


レクか!あっと言う間に所在がバレちゃったなぁ。

はぁ、何か面倒事かなぁ?


「有難う。今行くよ。」


従業員には御礼を述べて席を立つ。


リンも慌てて駆け寄ってきた。

「同行します。」


俺とリンは宿の従業員の案内で応接室に入った。


ソファーに座っていたレクが立ち上がる。


ソファーの横に護衛が2人立っていた。1人はジモ、もう1人は・・・、名前は知らん。


「兄貴ぃ!」


満面の笑みで俺に駆け寄るレク。


両手を出して握手を求めるが、さり気なく断って席を勧める。


「まあ、座って話をしよう。」


レクの向かいのソファーに腰をかける。俺が座るソファーの後ろにリンが立つ。


宿の従業員は「お茶をお持ちします。」と言って、部屋を出て行った。


「兄貴ぃ!御無沙汰しております。お変わりない様で何よりです。」


「おう、レクも元気そうだな。」


俺とレクの会話に護衛の1人が顔を顰めて、剣に手を掛けるが、ジモが諫める。


横目でその様子を見て、ジモより上位の騎士で、レクの試練には同行していない事が分かった。


「その説は大変お世話になりました。王宮に是非ご招待したかったのですが、兄貴には迷惑になると思って、此方から伺いました。」


「そうだなぁ。王宮とか、王様、貴族に会うのはちょっとなぁ。」


「ははは、兄貴らしいです。」

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