第106話 騎士隊副隊長ジモ
王都の門前は騒然としていた。
王都内に吹き飛んだ巨大な鋼鉄製の門が拉げて、舞い上がった土煙も今はおさまっていた。
王都内にいた人々も何があったのか分からず、門の外を恐々見詰めていた。
地竜の馬車から降りて、門番達と対峙する俺とジャイアントハーフの聖騎士リン、ブラックジャガー獣人のノワ。
王都内から、交替の待機をしていた門番達も駆け付けて来た。
「どうしたあああああ?!」
「何があったあああああ?」
門番達と対峙する俺達を見ると、剣を抜いて身構えた。
門の外で俺達と対峙していた門番達は、俺が素手で門を叩き飛ばしたのを目撃し、戦意喪失しているが、使命感からか剣を構えている程度だ。
及び腰で恐れ震えている。
「何で上位のモンスターも破壊出来ない門が、あっさり壊れてんだ。」
「あいつら何者だ。」
「俺達、ヤバくないか?」
「襲われたらイチコロだぞ。」
「お、お前等何者だ・・・?」
ビビりながら門番の一人が、恐る恐る俺に聞いてきた。
「Eランク冒険者だけど。」
「いやそれは知ってる。聞いてるのはそんな事ではないのだが・・・。」
「そんな事はどうでもいい、お前らが俺に暴力を振るおうとした事実が重要だ。お前らは俺の敵だ。」
「敵? いや俺達はそんな事は・・・。」
門の外でそんな会話をしていたが、門の中に居た門番達が俺達に向かって来た。
「お前ら、詳しい話を教えろ。詰所に連行するから、大人しくついてこい。」
「断る。」
「拒否は認めん。さっさと来い!貴様らも何があったか教えろ!」
門番の隊長なのか、上から目線で門の外の門番にも命令し始めた。
「面倒な事になってきたな。引き上げるか?」
俺はリンとノワに告げると馬車に乗り込もうとした。
「ちょっと待て!何処に行く。逃げるな!」
門番の隊長が駆け寄り、いきなり剣の腹で俺を叩こうとした。
ガシッ!
リンが盾を展開し、隊長と俺の間に割り込み盾で剣を受けると、そのまま盾で隊長を叩き飛ばした。
ドガッ!!
「うぬ、おのれえええ!」
飛ばされて転んだ隊長は、真っ赤な顔をして立ち上がり、剣を構えた。
「掛かれえええええ!」
そして門番達に号令を出す。
門の中にいた門番達が全員 、俺達に向かってくる。
「待て待てえええええ!!!」
城の方角から騎士隊が馬に乗って駆けつける。
門番達は歩みを止めて、騎士隊を見る。
隊長らしき騎士隊の先頭の男が、俺を見ると驚愕の表情で素早く馬を降りると、騎士全員に下馬を促す。
騎士隊長は俺の前で跪く。
「タクミ様、ご無沙汰しております。私はレク王子の護衛をしていました。騎士隊副隊長のジモと申します。」
そう言えばどこかで見た顔だな。
レクと一緒にいた男かもな。
「何か不手際がございましたでしょうか?」
「ああ、門番がいきなり殴り掛かって来たのでな 、抵抗したらこうなった。」
「申し訳ございません。」
ジモは俺に頭を下げると、門番達を振り向く。
「貴様らああああ!都市を潰す気かあああ!タクミ様には、最上級の敬意を持って対応する様に通達したはずだぞ!」
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