第91話 剣聖ルイ2

どうして、こうなった?


剣聖ルイはいきなり土下座をしていた。


「大変な無礼な事をしてしまいましたあああ!どうかお許しくださいぃいいい!」



ジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワは、両手を胸で組み胸を張り、当然の事と頷いている。


リンは展開していた盾を既に収納している。


「ルイ、どうした?」


「ジャイアントハーフの女性が展開していた盾は、紋章から勇者教の聖騎士が持つ物です。」


「そうだよ。良く分かったねぇ。」


「はい。しかも展開収納自由自在の装備は隊長クラス。隊長クラスの聖騎士を従者にして、天罰で守られる存在と言えば・・・。使徒様!」


「ああ、そうとも言わなくも・・・なくはないかなぁ・・・。」


どっちやねん。って言う感じで返事しておいた。


「使徒様を疑うとは・・・、なんと愚かな事をしてしまったと、反省しております。天罰が下って当然。」


「ふむ。此奴らの処分は任せるよ。」


「え?私はソロの冒険者なので、4人を連れて行くのはちょっと・・・。」


「冒険者はギルドの裁定に従うんだろう。冒険者同士で処理してくれ。他の冒険者や商人にお願いするなり、手はあるだろう、頭を使えよ。」


「はぁ、分かりました。神の試練の一つとして、適正に処置致します。」


「それから、俺達の事は一切他言しない様にね。」


「それでは、強盗の説明が・・・。」


「旅人の地竜を強奪しようとしたで良いだろう。」


「はい。」


「リーマバ!お前も他言無用だぞ!」


「は、はいいいいい。」


「嘘をついたら天罰だからね!」


「は、はいいいいい。」


リーマバは何度も頷く。


リーマバは頭から真実のたがを外し、箍はアイテムボックスにしまっている。


そして斬った右手には、リンがヒールで治療をしているので、痛みは無くなっている。


手は斬られたままで治して無いよ。


強盗しようとした奴に、エリクサーを使うなんてあり得ない。


「さあ、食事にしましょー。」


ノワが俺とリンに告げると、テーブルに皿を用意し始めた。


俺とリンは折り畳みの椅子に座り、食事にする。


焼いたミノタウロスの肉とサラダとスープ、パンだ。


「美味いなぁ。このタレ絶品だね。」


「ノワ、また腕を上げたね。」

リンも大満足だ。


その様子を見ていたルイは、目を大きく開いてジッと見詰め、涎を流して。


ぐーぎゅるぎゅるうう・・・。


お腹がなる。


「ん?食べたい?」


物欲しそうに期待の眼で、うんうん頷く。


「しょうが無いなぁ。こっちにお出で。」


俺はアイテムボックスから、椅子を一つ出して。


「ノワ、一人前追加ね。」


「承知しましたー。」


「有難う御座います!」

ルイは駆け寄り椅子に座る。


ノワがお替わり用のミノタウロスの肉の皿とスープ、サラダ、パンをルイの前に置いた。


「召し上がれぇー。」


肉に齧り付くルイ。


「美味しいいいいいいい!」


リーマバと3人の冒険者達も、涎を流して、はぁはぁ言いながら見ているが、強盗に出す食事は無いのだ。

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