第81話 騎士のダンジョン訓練

迷宮都市リトットの騎士達は、レベ上げのためダンジョンに入った。


いつもはゴブリンがいる地下1階。


「やっと来たよ。」

俺達は最深部で待っていた。


ブラックジャガー獣人のノワと、ジャイアントハーフの聖騎士リン、ダンジョンマスターである人狼のマリカも一緒だ。


ババや獣人と亜人の薬師達、冒険者達、騎士達は牧場に合流している。


宰相ヨシナは獣人の村に隠れて、状況を見守っていた。


「予定とちょっと違うけどねー。」

とブラックジャガー獣人のノワ。


獣人と亜人の冒険者が居なくなった時点で、騎士隊がダンジョンに入って来る想定だった。


スタンピードを警戒するなら、モンスターの間引きは必須だと思ってたんだけどね。


領主の館や都市内にノワが、斥候に出て動向は探っていた。


まさか、ダンジョンを全く無視するとはね。入口で見張ってるだけだった。


本当はその時点で騎士達もダンジョン内で殲滅予定だったのにね。


ダンジョンにはモンスターの発生装置が設置する事が出来て、それによって一定時間毎に発生するのだ。


リトットの迷宮にもモンスター発生装置は設置してあったので、間引きしないと増えて行く。


上層の短時間で発生するモンスターは、かなり増えているのだが、弱いモンスターでは、殲滅出来ないので、ダンジョンコアを再設置して、出現するモンスターを変えていた。


「さて、地下1階のミノタウロスに勝てるかな?」


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騎士達はゴブリンが出ると思っているので、余裕で歩いている。


「このダンジョンに入るのも久しぶりだな。」


「そうそう、護衛の任務が終わったら、国中で職人探しを遣らされるとは、思って無かったよ。」


「だいぶ鈍ったから、ゴブリンでリハビリだよ。」


なんて喋りながら歩く騎士達。


物陰から現れる巨体のモンスター。

牛の顔を持つミノタウロスの登場だ。


重厚な斧を振り回す。


ガシュッ!!

頭に斧を打ち付けられて、絶命し倒れる騎士。


「ぎゃあああああああああ!」

「ミノ、ミノタウロスだ!」

「なんで地下1階にいいい。」

「逃げろおおおおお!」


逃げ出す騎士達。

追うミノタウロス。


騎士の逃げる先にもミノタウロスが現れた。


「ヤバい挟まれた。」

「くっ、どうする?」

「強行突破しかないか!」


騎士達は決死の覚悟でミノタウロスを攻撃するが、ミノタウロスの皮膚は硬く剣を受け付けない。


1人、また1人で殺されていく騎士達。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


騎士隊の宿舎にある隊長の部屋。


「隊長、ダンジョンに入った騎士達が戻りません。」


「なに?命を大事に地下1階だけで、訓練するはずだぞ。どうなってんだ、冒険者ギルドに聞いて来い。」


「隊長、冒険者ギルドは無くなっています。」


「そ、そうだった。ダンジョンの状況は分からないんだ。俺達が調べるしかないか・・・。」


「取り敢えず、伯爵様に報告しましょう。」


「待て待て、こんなに人数が少なくなって、伯爵に報告なんてしたら、また無理難題を言われそうだ。」


「それもそうですねぇ、どうしますか?」


「う~ん。・・・この領地はもう詰んでるからなぁ、・・・逃げるか?」

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