第74話 宰相ヨシナ

俺達は迷宮都市リトットと、城塞都市ナキサガの中間にある獣人の村にいる。


リトット伯爵に門前でまちぶせされたが、第三王子レクが間に入り戦う事がなかったので、迷宮都市をあとにしたのだ。


そこには、俺とジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワと狐獣人の薬師ババがいる。


そして鼬獣人の宰相ヨシナも同席していた・・・。


「何であんたがここにいる?」


「リトット伯爵を懲らしめるのじゃろう?儂も交ぜてくれんかのう。」


「あんたはリトットの側近だろう?」


「伯爵の父の代から仕えてきたのじゃがな、先代は亜人や獣人にも分け隔てなく接してくれたのじゃが、あの小僧は違うのじゃ。」


「どういう事だ?」


「元々この都市はダンジョンのスタンピードや他国との国境の都市じゃ。実力主義で戦力を整えないとやっていけん。獣人や亜人も含めて実力があれば出世も大金も手に入れられる都市じゃった。」


「じゃった?今は違うのか?」


「そうじゃ、先代の妻の一人に公爵の娘がおってな、その公爵は人族至上主義のお方、その息子が今代の伯爵じゃ。」


「それで?」


「先代が健在だった頃は良かったのじゃが、先代が病気で倒れた頃からおかしくなった。明らかに人族の差別が始まってのう。儂も何時引退しようかとタイミングを窺っていたのじゃ。」


「戦力が減ったらやっていけないんじゃないのか?」


「獣人や亜人の戦力が減った分は、公爵領から貴族の人員が補充される様になったのじゃ。」


「人族至上主義の公爵の息のかかった者達が増えていくと益々肩身が狭くなるな。」


「そうなのじゃ、儂も何時止めてもいいぐらいじゃ。」


「それで、俺たちの企みに1枚噛みたいとそういう訳か。ババ、どう思う?」


「宰相様は獣人や亜人に優しい人なので、嘘は無いと思うのじゃ。」


「ふ~ん、そうか。ババが良いなら参加を許そう。」


「おお、有難う御座いますじゃ。」

頭をさげるヨシナ。


「タクミ様、リトットをぎゃふんと言わせるんでしょー?」

ノワが俺の方をわくわくした目で見つめる。


「そうだ、リトットは迷宮都市、迷宮が無くなれば立ち居かなくなる。そして迷宮は俺の物だ。目に物をみせてやる。」


「俺の物?」

ヨシナが目を見開く。


「そうだよ。後でダンジョンマスターを紹介しよう。」


「おお!それなら・・・。こんな手がありますのじゃ。」


「なるほど、じゃあ、ここはこうして・・・。」


「そんな事が出来るのか?」


「出来る出来る。」


「凄いのう、タクミ様は何者じゃ?」


「今のところそれは秘密だ。」


「私は○○に呼びかけてみるわー。」


「ほほう、それはいいのう。」


「最終的にはこうしよう。」


「良いですねぇ。」

「さんせーい。」

「良いのう。」


という感じで計画は練られた。


因みに、レク王子はその後王都に帰った。


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