第43話 公爵軍撃破後
公爵軍を完膚無きまでに叩き潰した俺達牧場軍。
亜人達は死体から武具を外し、奪い取っていった。
「いやぁ、流石タクミ様です。まさか本当に敵軍の総大将と副大将の首を、一瞬で取るなんて、ついでに前方の指揮官も倒されたので、敵の命令系統はズタズタになり、楽に壊滅出来ました。」
聖騎士隊長イサミは思わず感嘆の声を上げる。
「当然です!タクミ様に不可能はありません。驚く事など信頼してない証。タクミ様を信じて、言う通り動けば間違いないのです。」
俺の右隣でリンがなぜかドヤ顔で自慢している。
「申し訳ありません。仰る通りです。」
頭を下げるイサミ。
「頭がいない集団は烏合の衆です。集団行動が出来なくなれば軍としての用をなさないでしょう。」
まあまあと両手を開いてリンを宥めながら、俺はイサミに答える。
「全くです。」
「若干の死傷者は出ましたが、これで、亜人達もレベルアップしたので、戦力増強が図れたはずです。後はイサミさんが訓練する事で、王国の他の勢力とも充分戦えるでしょう。」
「はい。有難う御座います。」
「タクミ様、此奴に敬称は不要です。イサミと呼び捨てで構いません。」
リンがイサミを指差す。
そう言えば、リンがイサミの前任の聖騎士隊長だったなぁ。
「はい。畏れ多いので、呼び捨てでお願いします。」
「分かった、イサミと呼び捨てで呼ぶ事にさせて貰おう。」
「それで結構です。」
「イサミ達は、この後は牧場近隣の町を制圧して、牧場に戻る予定で良いのかな?」
「はい!予定通り、現在の軍勢で制圧できる地域は制圧して、領地を広げます。戦力も続々増員しておりますので、この地域の穀倉地帯を制圧し、食糧の安定的な確保を図る様に、レン様からも言われています。」
「それで良いね。後はレンとイサミに任せるよ。獣人と亜人達と協力して宜しく遣ってくれ。」
「はい。畏まりました。タクミ様はこの後は如何なされますか?」
「俺達は牧場に1度戻った後、予定通りこの国を出る。」
「畏まりました。寂しくなりますが、次にタクミ様が戻られるまでに、更に戦力を充実させておきます。」
「無理はしないようにね。」
「いえいえ、我々には今が大事な時、多少無理をしてでも、礎を築いていきます。」
「それもそうか。」
その時。ジャガー獣人のコーサカとオークのオクオが駆け寄ってきた。
「「タクミ様あああああ。」」
「コーサカとオクオもご苦労様。左右からの挟撃有難う。見事な活躍だったよ。」
「いえいえ、タクミ様にあそこまでお膳立てしていただいたのです。失敗するはずがありません。それより、この国を出ると聞こえました。」
オクオは薄ら涙を滲ませていた。
「うん。俺が君達に力を貸すのはここまでだ。君達の安住の地を作る為に、これから大変な苦労もあると思うが頑張ってくれ。」
「はい。タクミ様に受けたご恩は忘れません。我々の力が必要な際は、何時でもお呼び下さい。最優先で駆け付けます。ノワ、タクミ様の為に身を粉にして働きなさい。」
コーサカは俺の左隣にいる、孫のノワに優しい眼で告げる。
「うん。有難う。ノワは頼りにさせて貰うよ。」
「お爺ちゃん!分かってるってー、タクミ様の護衛として、何人たりとも指1本触れさせないんだからー!」
ノワは初対面の時は、凄く丁寧な口調だったけど、この口調が本来の姿なのかな?
「ははは、宜しく頼むよ。」
「タクミ様の護衛は私です。私がタクミ様の盾として守ります!」
リンが盾を展開してノワを睨む。
「うー。」
ノワも俺を挟んでリンを睨む。
「リンは戦闘時の護衛と回復に期待している。ノワは斥候と探索、特に暗殺等の警戒に期待している。二人とも護衛で役割が違うんだよ。」
俺は二人の背中を撫でて諫めた。
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