第28話 公爵の居城

城塞都市ナキサガにある公爵の居城に入った俺達は、門番を気絶させた時、暗部のノワと出会った。


背が高い黒豹獣人のノワ。


「良し、居城の入口に進むぞ。」


地竜の馬車を入口に横付けし、馬車から降りる。


「ここで地竜と馬車を配下の者が預かりましょう。」

ノワはそう言うと合図をした。


ガサガサッ。


近くの茂みから2人の男が出て来た。


「暗部のヤミとカゲと申します。地竜と馬車はお預かり致します。」


「お、おう。宜しくね。」


俺達は鋼鉄の重く重厚な扉を開き、居城に入る。


「どちら様でしょうか?」


執事らしい人がうやうやしく現れた。


「聖騎士リン・パーシヴァルだ。公爵家の全財産を受け取りに来た。」

リンが決闘の魔法誓約書を掲げる。


「な、何?門番はどうした!」

執事が大声を出した。


「そんな事はどうでも良い。宝物庫に案内しろ!」

俺は執事を睨む。


「こ、公爵様あああああああああ!」

執事叫びながらが奥に走り出す。


俺は雷の杖で執事を気絶させた。


「ちっ、使えない奴だ。宝物庫の場所が分かんないじゃないか。」


「私が宝物庫にご案内致します。」

ノワは宝物庫の場所を知ってるらしい。


「お、いいね。宜しく頼むよ。」

出来る人だねぇ。


ノワに案内されて宝物庫に向かおうとした時。


「誰か来ます。3人の人間の男です。」とノワ。


「お、探知スキルを持ってるの?」


「はい。魔力探知と音探知と臭い探知があります。」


「良いねぇ。」


一般的に猫の嗅覚は犬に劣るが、聴覚は犬を上回るからね、豹も同様なのかな?


「急ぐか。」


俺達が1階のホールを出ようとした時、足音が聞こえて来た。


ドタドタドタドタ!


執事の叫びを聞いて、衛兵達3人が駆けて来た。


「どうした?!」

「執事が倒れているぞ!」


俺達は無視して宝物庫に向かう。


「おい、お前達は誰だ!」

「おい、待て!!」

「お前達何処に行く?」


衛兵達が俺達を見つけたらしい。


煩いなぁ。


駆け寄る衛兵達。


俺は有無を言わさず先頭の男の顔面に、魔王の手甲を付けた右拳を叩き込んだ。


「ふぐえええええ!」

吹っ飛び、転がる衛兵。


同時に左右の男達にリンとノワが攻撃した。


リンは剣の腹を振り降ろし、ノワはナイフの背で喉を殴った様だ。


「ぐひぃいいいいい!」

「んごっ!」


倒れる衛兵。


俺の攻撃を見て、咄嗟に不殺の判断をした2人は凄いね。


「いたいたいた痛いいいいい。」


魔王の手甲で殴られた衛兵がのたうち回る。


痛さ100倍だからね。


そしてお決まりの雷の杖で気絶させて、防具を剥ぎ取り、武器と防具を奪った。


「宝物庫に急ごう。」


「畏まりました。」


俺達は宝物庫に向かって進む。


「そう言えば、公爵の居城にしては、衛兵が少ないよね。」

ノワに聞いた。


「タクミ様を待ち伏せするため、騎士隊と共に、出ておりますので。」

流石ノワは内情を良く知ってる。


「待ち伏せ?馬に乗った騎士達十数人と遭遇したが、そいつらの事?」


騎士達は十数人だったよなぁ。

人数が少ないんじゃない?


「いいえ、数百人は都市を出たのを見ました。恐らく、タクミ様が途中で牧場に向かったので、擦れ違ったと思われます。」


「成る程、そいつらの武具も欲しいなぁ。この城の用事が終わったら、奪い取ろう。」


悪い顔で薄ら笑いの俺。


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