第一章 視えるんです
カーテンの隙間から朝の暖かい日差しが差し込む。
眩しく輝く太陽。鳥の声。-4月上旬。
ベッドの上で気持ち良さそうに寝ている少年が一人。彼の名前は、神崎 秋人(かんざき あきと)。希望ヶ丘学院中等部に通う、17歳。
その頬を撫でる白い手。
「うーん……まだ、寝るの……。」
寝ぼけた声で言う秋人に、白い手は更に頬を撫でる。
その手をグッと掴むと、秋人は、うっすらと目を開け、少し怒ったように言った。
「麗香さん、やめてよ。それに、手、冷たい。」
その言葉に、掴まれた手をほどき、呆れたように呟く女性。麗香(れいか)。
「何、言ってるのよ。もう8時よ。今日から学校でしょ?遅刻しても知らないんだから。」
「……分かったよ!」
よいしょと、ベッドで上体を起こし、秋人は大きなアクビをする。
「それにしても、麗香さん、手、冷た過ぎ。」
それを聞き、麗香は、プゥーと頬を膨らませる。
「だって、仕方ないじゃない。私、死んでるんだから。」
「そうだけどさ……。着替えるから出て行って。」
「はいはぁーい。」
麗香は、スゥーとドアに向かうと、ドアを開けずに、すり抜けて行った。
「やれやれ。」
秋人は、大きく伸びをすると、パジャマを脱ぎ、学生服に着替え出す。
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