第12話 再誕の修羅場



 俺にとっては初めてだけど、友人にとっては何度目かの修羅場。


 腎内が萌絵ちゃんを脅して、萌絵ちゃんが困る。

 そこで仁志が腎内と言い争いをはじめる。


 腎内は勝ち誇った顔をして、萌絵ちゃんの腕をひっぱり自分の物宣言。


 仁志に向かって、内申点をさげられたくなかったら見て見ぬふりをしろ、なんて脅し文句まで発言。


 それを聞いて「私のために迷惑をかけられない」と言った萌絵ちゃんが、腎内の要求をのんで首を縦に振ろうとしたところで、我慢の限界が来たようだ。


 誰の?

 綾香のだ。


「先生は、私の事、弄んで、結局、最後まで、振り向いてくれないのね!」


 とか言いながら隠し持っていたカッターを振り回し始める。


 卑怯なごみ教師腎内は、萌絵ちゃんを盾にして、逃げ回る。

 盾にされた萌絵ちゃんは、カッターにおびえてその場から動けない。


 哀れな少女はまたしても犠牲になってしまうのか、といったところで友人が飛び出した。


「うぉぉぉっ、惚れた女を守れなくて男が務まるかっ!」


 くわっ、と目を見開いた奴は、めったに見せないマジ顔で綾香の腕をつかんだ。


 うわっ、あぶなっ。


 抵抗する綾香は腕をつかまれたままカッターを振り回し続ける。


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