第10話 仁志



 とりあえず、修羅場にならないようにするために、場所を変える事にした。


 仁志にてっとりばやく萌絵ちゃんの気持ちに気付いてもらって、やじ馬がいるとかなんとかいって、別の場所で告られるように仕向けておこう。


 というわけで、五人の中にいるまともな人間の一人に話しかけにいった。


 他の生徒に嫉妬されてるとか詳細を伏せてわけを話したら、不思議そうな顔をされた。


「それはいいけど、どうしてそこまでの事をしてくれるんだ? 言っちゃなんだけど、あまり話をした事ないよね」


 そりゃそうだ。

 これまでまともに接点がなかった人間から、そんな親切されたら不気味がられるに決まってる。


「あー、こいつが萌絵ちゃんに振られたんだよ。告る前に玉砕ものの現場を見たんだってさ。だからせめていい印象を残したいんだと」

「はぁ」


 普通だったら、好きな子に振られた後は、関わりあいになりたくないよな。


 でも、それでも好きだったから最後に恰好いいと事したいんだ、みたいな流れに持ってくことにした。


 それ以外にうまい言い訳思いつかなかったし。


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