真奈

そんな日々を過ごしていく中で、俺は恋をした。

相手は、兄と仲良しの内気な女の子だ。


問題なのは、彼女がほぼ確実に兄の恋人であることである。


だが、本人達にそれを問うても

「僕と真奈はそんな関係じゃないよ」

「そうそう、ただの友達だよ」

と否定されてしまう。

お互いに顔を見合わせ、「だよね」「そうそう」と確認し合うものの顔は紅潮している。

俺がいくら心の機微に疎くても、お互いに好意を寄せていることが見てとれる。

実際、この態度ではそれを自白しているようなものだろう。

彼らの周囲でも「この二人は付き合っている」という噂が流れているのだ。


それでも、俺は真奈に惹かれている。

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