第76話 恋の話 十九

 「あ、ペンギンですね。

 かわいらしいですね。」

「あ、そうですね…。」

「どうかなさいました?」

「いや、平沢さんも『かわいらしい』って言うんだなと思いまして…。」

 僕がそう言うと一瞬平沢さんはムッとした表情になった…気がしたが、

「私だってかわいいものはかわいいと言いますよ。」

と僕は強めに言われる。

 しかしその顔は怒っているようには見えなかったので、

 「今のは…冗談ですか?」

「はい。」

そう言った後平沢さんはまた笑う。

「分かりました?」

「はい、もちろん!」

 そう言った後、2人の間には心地いい空気が流れた…と思ったのは僕だけか。

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