第21話 プロローグ 二十一
「すみません、大丈夫ですか?」
僕は弾みでぶつかり転んでしまった相手の人に対してそうとっさに声をかけ、その人の顔を見る。
そこで僕は、なぜかはっとしてしまう。
その人、その女の子は白いステンカラーのコートを着ていて、とても可愛らしい顔であった。僕は女性の顔を見慣れているわけでは決してないが、同じ大学の女子大生であろうその女の子は目が印象的で、日本人であろうとは思われたがどこかハーフを思わせる顔立ちであった。
「…大丈夫です。」
その人は自分で起き上がってその場を立ち去ろうとする。
…ここで、僕は不思議な感情を抱いてしまう。その人の顔は確かに可愛らしい。しかし、可愛らしい女子大生なんて他にもいくらでもいるし、そもそも僕はそういったことには興味を持たなかったはずだ。
しかし…。
僕はその人の目に、小さな違和感をなぜか持ってしまった。…そう、僕はその子に自分と同じようなものを感じてしまったのだ。
それは僕の錯覚なのだろうか?寒い冬のせいで僕の判断能力がおかしくなってしまったのだろうか?
でも、その違和感は僕の心の中に確かに存在している。
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