タムラ薬局


ブスが

薬局をうろうろしていた

「喉が痛いんですけど」

おれは大きく広げていた新聞紙から顔を上げそのブスを直視した

「森に、帰れ」

そうしてまた広げていた新聞紙へと視線を落とした

『清原、性転換。バットとタマタマの摘出後、経過良好』

世界はとんでもないことになっているなと思った

そして表の電話ボックスへ入った

オリゴ糖へ長電話だ

「もしもし聞いてくれよ………」

オリゴ糖はうんうん頷いてから言った

「今、友達のビフィズス菌ちゃんに替わるね」

しばらくの沈黙後、電話向こうのビフィズス菌は言った

「ファイト!」

この一言で勇気が出た

さすがは自らを善玉菌とかぬかして他の菌を皆殺しにするだけのことはある

店に戻るとまだブスがうろうろしていた

「一体、いつまでおれの店でうろうろしているつもりなんだ、このブスは………」

相手の顔をガン見して呟いた

クッキーを二、三枚やるから何処かへ消えてほしかった

その願いが通じたのかブスは去った

帰りの電車を待つ最中、ブスは自らの守護神によってホームから突き落とされた

「もう守護するのに飽きた」

飽きたのなら仕方ない

おれの名前はタムラ

下の名前は呼ばれることがないのでとっくに忘れちまった

タムラ薬局は地元に愛される素敵な憩いの場

ドラッグストアーを襲撃して店員の一人や二人、再起不能にさせることもやぶさかではない


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