二人の画家
御茶ノ水 公彦
第一編 偽物の友情
AとBと言う画家がいる。お互いの作品は比べて紹介されるが、学生時代の大半を共に過ごしてきたのでお互いかけがえのない存在となっていた。
ある日の深夜。Aが自宅の作業場から妙な物音を聞いて目を覚ました。絵画を乾かすために窓を開けていたのでまた猫でも入り込んだのだろうと思い見に行くとそこにはBがいた。 こちらに気づいたBは、はっとして何か棒状ものを手にして窓から飛び出ていったのであった。
すぐさま電気を付け、何をとられたのか確認することにした。しかし、Aには一体何が盗まれたのか皆目検討もつかなかった。しばらくして、筆が一本消えていることに気がついた。だが、肝心などんな形の筆だったかをまったく思い出せずにいた。悩んでいたところで仕方がないと思い、明日思いきってBのもとを訪れて話を聞くことにしようとAは決意した。再び床について寝ようとしていたときであった。チャイムの音が家に響いたのであった。こんな夜に誰だと思って玄関に向かうと、扉の向こうにはBが立っていた。慌てて扉を開け、入るようにうながした。
「やはり君はこの筆を覚えてはいなかったか。」とあきれた顔と共に言う。そして僕は隠し持っていた包丁で殺された。
二人の画家 御茶ノ水 公彦 @kimihiko_39
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