第6話『ジジとジージ』


ジジ・ラモローゾ:006


『ジジとジージ』  





 うちは日仏友好を地でいったような一族だ。


 

 ジージとお祖母ちゃんは二人とも日仏のハーフ同士。


 お父さんとお母さんはイトコ同士でクォーター。


 で、あたしはクォーター同士の間に生まれた子だからクォーターの形質を持っているはずなんだけど、1/4×1/4=1/16にはならずに1/4+1/4=1/2という感じで、外見的にはジージやお祖母ちゃんに近い。


 それに、母方の曾祖母は、フランスと言ってもドイツ国境に近いところの出身で、事実、その地方は戦争のたんびにドイツになったりフランスになったりってとこなんだけど、見てくれは、ドイツや北欧系。


 えと、まあ、家系についての話は小出しにするね。


 ジージのパソコンが使えるようになって、発見があった。


 あたしの写真を壁紙にしてるってのが最初だったよね。


 入学式の時、校門脇で撮った一枚。『入学式』の看板が後ろにあって、桜の花びらがチラホラ舞ってる、新品の制服をダボッて着て、緊張しまくりの笑顔。


 恥ずかしいので、直ぐにWindowsのデフォルトに替える。


 すると、ショートカットのアイコンがクッキリ見えるようになった。


 


 ジージは学校の先生だったので、仕事関係のファイルがチラホラ。




 その中に『雑記帳』というファイルがあった。


 雑記てのは落書きみたいなことだろうから、気軽にクリックしてみた。


 ザっとスクロールすると、やっぱ、仕事のアレコレらしい表題が付いている。


 どうしよう……ちょっとためらう。


 ま、ヤバイのが出たらお祖母ちゃんに言えばいいや。




 〔初めに〕というタイトルをクリックした……。




〔初めに〕


 これを読んでくれるのがジジだったら嬉しい。


 仕事や日々の生活で感じたこと、面白いと思ったことをジジに話すつもりで書いてみるよ。


 ジジに聞かせると思ったら、そうそうエゲツナイことも書かないだろうし、表現も考えると思う。


 けして嘘は書かないけど、剥き出しな表現はいけないと思う。


 我ながらいいアイデアだと思うんだけど、どうだろう。


 まあ、お茶でも飲んで、ゆっくり、少しづつ読んでくれたら嬉しいな。


 ジジへ  ジージより




 ジジ、お茶が入ったわよ~


 ハ~~イ!




 タイミングを計ったかのようにお祖母ちゃんの声。


 ゆっくり、お茶を飲んでから読むよ、ジージ。





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