第35話 おじい様大好き!

 徳川家光は徳川家康のことが大好きである。

 しかしながら、彼は自分の父である徳川秀忠が大嫌いであった。

「ふむ、上様は何ゆえに秀忠様を嫌い権現様を愛するのですか?」

 或る日、ふっと立花宗茂がそのことについて聞いてみた。

 彼は不幸にも子供がおらず、甥っ子を養子にしているからそのような疑問が出たのだ。

 すると、家光はにこやかな顔でさらりと言った。


「おじいさまが御父上なのだよ、宗茂」


 それを聞いて、宗茂は首をかしげる。

 すると、家光は耳元に口を寄せて、言う。



「忘れたか、おじいさまは経産婦好きだ」



「あっ」

 意味が分かった宗茂は、他言しないでおこうと固く誓った。



         了

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1×100物語 文屋旅人 @Tabito-Funnya

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