第23話 雪が降った!
佐藤花子は難病患者である。
彼女が生まれたのは東海地方の海沿い、非常に温暖な地域である。
「お母さん……雪が見たいよぉ」
花子は母親にそういった。東海地方南部は極めて温暖であり、不治の病を患っている花子にとって極めて良好な環境であった。しかしながら、花子は雪を見たいと母親にせがむ。
母親は困り果ててしまう。
そのまま月日が流れ、徐々に花子の体は弱っていった。
花子の体は枯れ木の如くやつれて行き、だれの身にも死ぬことは明らかでした。
「雪、見せられなくてごめんね……」
花子の母親は、そんなことをぼそりと居ました。
すると……
「ゆ、き」
花子はそうぼそりといいました。
「え?」
母親が外を見ると、外に白いものがふわふわと舞っていたのです。
それを見て、花子は嬉しそうな顔で死にました。
花子が見た雪、それはしろばんばとも呼ばれる雪虫でした。
了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます