拷問

「う、うぅ」


「目が覚めたか」


あの戦いで、気絶したジェシカは唸りながら目を覚ます。だいたい3時間ぐらい経っただろうか。今思えばこのこの薄暗い部屋に同じように一緒に居たのが馬鹿らしく思える。いつもの部屋に行き適当に監視とかできる魔法を使えばよかった。


「ここは!ってなんで私裸なの!」


「何でも何も、拷問するからに決まってんだろ」


そう、今のジェシカは生まれた時の姿。何もまとっていない全裸なのだ。これは別に俺が裸を見たいとかそういうわけではない。むしろこうする事を進めたのはルリだった。

この世界では服も装備の1つただの布ではないのだ。何かしらの付与魔法エンチャントが付いていてもおかしくはない。傷を自動で癒すもの、危害を加えたものを状態異常にするもの、障壁のようなものを作るもの様々なのだ。

そう考えれば、スカートのような戦いづらそうな服なのも納得がいく。ある意味ではルリと同じような戦闘服なのだろう。


「私が情報を話すと思って?」


「嫌でも話してもらう、それだけだ」


ジェシカはこの状況でも強気な態度を取ってみせる。だが俺も何としてでも情報が欲しい。

ここで情報を聞き出せれば。邪神についても対策が出来る。それに帝国の事も気になってはいる。


「まさか私に対して快楽攻めでもやろうってわけ?無駄よその程度の事なら何時までだって耐え続けられるわ」


「はぁ、アホか?そんな事してお前に快感を感じられたら意味ないだろ。まぁ実際、陵辱して人の心が簡単に折れると思ってないしな」


どうやらさっきの戦闘で頭がおかしくなっちまったのか、それとも元から頭お花畑だったのか。どっちか分からないがジェシカは自分が辱められると思っているらしい。


だが俺が言ったとおり、そんな事で人の心が折れるかは疑問だった。そんなのは創造物上の話しだけだとも思っている。まぁそういうので使われる薬らしきものは、闇魔法で作れたり。この世界の魔物、オークや触手が陵辱するって話しなら聞いた事はある。だがあんな事は弱き者や力無き者にやるからこそ意味があってこいつジェシカには、意味が無いだろう。


さて、話しは変わるが戦いにおいてもっとも不必要なものはなんだろうか。誇りなどのプライド?守るべき大切な者?これはあくまで個人的にだが、俺は感覚、それも痛覚だと思っている。戦いではどちらか一方が余程の強者で無い限り無傷のまま終わることはない。だから傷を負えば痛みを感じて動きが鈍っていく。だが痛みを感じなければどうだろうか。それに伴う鈍りは無くなる。よって隙は生まれずらくなる。痛みは判断を鈍らせるのだ。


なぜこんな話をしたのか、痛みは受け続ければ判断を鈍らせる、それは人の意志すら簡単に変えてしまう。つまり拷問において痛みを与え続ければ当然意志は折れるのだ。と思っている。現状強気なジェシカでも地獄のような苦痛を味わい続ければ勝手に話してくれるだろう。痛みを快楽と捕らえてしまうマゾでさえなければ。

感じる痛みをなくす魔法があるなら、感じる痛みを増幅させる魔法もある。これを作った人は絶対やばい奴だと思うね。


「とりあえず〈感度10倍〉」


「え?」


自分が何されたかわからない様子でハテナを浮かべるジェシカ。まぁ俺も初めて使う魔法なのでその効果が発揮されているかは、分からないが。

とりあえず手始めに、ルリに試してもらう。ジェシカに近づき太ももを短剣で貫いてもらう。すると


「アァァッ!痛い痛い痛い」


どうやら成功したようだ。尋常じゃないほど痛がっている。強すぎる痛みを伴い目から涙がこぼれているのを確認。だが俺もルリもレオもこの光景を見ても表情を変えなかった。


「何を!何をしたの!」


「感じる痛みを10倍にした。当然この魔法に対するアンチ魔法は使えないようになっている。この空間でお前が魔法を使えると思わないことだな」


俺の言葉を聞いただけで、ジェシカの顔が青ざめていくのが分かる。それはこれからの事を予想しているのだろう。まぁ俺が逆の立場なら絶望するな。


「そうそう、先に言っておくが、今はまだ10倍だがその気になれば100倍とか3000倍とかにする事も出来る。それにお前は気を失う事も死ぬ事もできない」


「そ..んな」


ますますジェシカの表情は絶望に染まっていく。死が救済とはよく言った言葉だ。だってジェシカはこれから痛みから解放される事はないのだからな。


「シオン、とりあえず反対の足にもう一回やっとくよ」


「いいぞ」


「まっ、イギィィィ、アァァァ!!」


チョロチョロチョロ

何所からか水のような物が滴る音がする。痛みに耐え切れず漏らしてしまったようだ。そんなジェシカは計らずとも辱めを受けて顔を少し赤らめている。


「さて、始めはこんな感じでいいだろう。〈感度100倍〉」


「ヒィ!待って話す話すわ。だからやめて。お願い、いやお願いします」


枷で繋がれている手足を何度も動かし、必死に懇願するジェシカ。先ほどまででもかなり厳しいのにこれ以上は本当に壊れてしまうかもしれない。

だが関係ない。


「えい」


「え、ゲェェ」


俺が何も持ってなかったから安心していたのか。いきなり攻撃されて痛みが追いつかなかったのか。俺はジェシカの前まで近づき右手をジェシカの左胸に突っ込んだ。ここまで来て陵辱をしようとした訳ではない。ジェシカの心臓を握ったのだ。そして心臓の鼓動にあわせるように手で圧迫していく。

それが余程気持ち悪かったのか、ジェシカは吐血交じりに思いきり吐いた。


「コフッ、どう、して」


「安心しろ。お前が話すならこれ以上の事はしない。逆に話さないならこれ以上の事をするだけだ」


案外チョロいな。そう思ってしまう。俺が言った瞬間ジェシカは涙でグチャグチャの顔を必死に縦に振った。どうやら心は完全に折れたようだ。


とりあえずこれで、色々な情報を喋ってもらう事には成功した。さて欲しい情報は手に入るかな。

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