テスト終わり
「やっと終わったー」
期末テストの全日程を終了して、今日はもう帰るだけ。
クラスメイトたちはこれからどこか遊びに行こうとか、やっと部活頑張れるとか話している。
貴音にとっては今まで勉強に当てたいた時間を有栖とイチャイチャする時間に当てられる。これ以上嬉しいことはないだろう。
だから早く帰るために貴音はいつものとこに向かった。
有栖と合流した貴音は一緒に帰っていく。
「兄さん、遊園地は今日行くのですか?」
できることならなるべく早く行きたい。
今は日差しが強いから一度家に帰るだろうが、大好きな貴音とデートできるのだから、有栖はこの数日間楽しみにしていた。
「うーん……」
貴音は迷っている。
このままデートに行って有栖に告白したら間違いなく恋人同士になれるだろう。
それは嬉しいことだが、少し前に可憐に告白されたことが頭から離れない。
少なくとも有栖とデートをするのは可憐の告白を断ってからの方がいいのではないか……
付き合いたいとか考えているわけではないけど、このままデートしたら、スッキリしない気がする。
意識してしまっているあたり、可憐の狙い通りなのだろう。
「どうしたのですか?」
少し不安になってしまう有栖。
貴音が有栖の約束を破るなんてことはないから確実にデートはしてくれるが、このままでは恋人同士になることができないんじゃないか……デートはすると言ったけど、告白するとまでは言ってくれなかった。
だからそんな不安が有栖を襲ってしまう。
「有栖には言っといた方がいいよね」
「何をですか?」
「実は可憐に告白されたんだよね」
有栖は驚きつつも「そうですか」と呟いた。
可憐が貴音のことを好きなのはわかりきっていたこだし、いずれ告白するかもしれないと予想できる。
だから告白していたとしても不思議ではない。
「それで返事はどうしたのですか?」
「まだしてない」
「何でですか? 彼女作らないと言ってましたよね?」
告白なんてされたらすぐ断ってくれると思っていたのだろう。
「まだ返事しなくていいって言われたから」
「その理由は何となくわかりますが、きちんと返事をしましょう。前に一緒に帰った時に告白されたのでしょうから、きちんと会って返事をした方がいいですね」
会って返事をするというのは相手に対しての礼儀だろう。
向こうが会って直接告白をしたのだから、相手も会って返事をするのは当たり前だ。
「兄さんは白河先輩の連絡先を知っていますよね。今から連絡しましょう」
「今からするの?」
「当たり前です。それがあるからデートを迷っているのでしょう? なら早く返事をしてほしいです」
それはそうだ。
有栖にとって危険因子はなるべく排除しておくに越したことはない。
だから告白をきちんと断ってもらい、デートをしたい。
「そうだね。呼ぼうか」
貴音の返事はどんなに長引かせようが変わることはないだろう。
それだったらもう返事をしてしまったほうがいい。
貴音はスマホのチャットで会いたいと伝えるとすぐに返信がきて、一度家に帰ってから貴音の家まで来てくれるそうだ。
「可憐が家に来るから俺たちも帰ろう」
「わかりました。兄さん、信じてますからね?」
有栖は貴音の腕に抱きついてから上目遣いで言った。
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