第一幕
ライブ会場の幽霊
*
中央に椅子。
向かって右側にはギターの置かれた椅子と譜面台がある。
左手には三段の階段。
階段の上には、ド○え○んの ‘どこでもドア’ のようなピンクのドアがある。
*
――暗転。
暗闇の中、一つの強い照明が一点を照らす。
映し出されたのは、マイクを両手で持った星佳。椅子に座っている。
●星佳
「ええ、皆さま、こんにちは」
拍手が鳴り響く。
星佳、深々とお辞儀し、架空の観客に手を振ってみたりする。
●星佳
「本日は私のライブにお越しいただきまして、ありがとうございます。今日はね、歌を歌う前に、真夏にぴったりの怪談なんかを一つ、皆さまにお届けしようと思っているんですの」
――突然、暗転。
すぐに、星佳、手持ちのペンライトを自分の顎に当て、また消す。
辺りは再び暗闇に包まれる。
●星佳
「びっくりした?」(くくく、と笑う)
星佳、ペンライトを付けたり消したり自由にしながら話し続ける。
●星佳
「皆さん、怪談ですよ」
青白い照明が、左側後方の階段を照らす。
●星佳
「あ、階段ですね。でも、それは違います。照明さん、ふざけないでくださいね」
星佳、冷静に言う。
――再び、周囲が明るくなる。
●星佳
「え~私、歌うたい、星佳ちゃん。こうやってね、ライブハウスで歌うとね、あ~必ず現れるんです。はい、気配っていうんでしょうかねえ……今も。いるはずがないんですけどね、おかしいなあ、おかしいなあって振り返ると誰もいないんです……とにかく、歌えば分かるんです。何しろ、自己主張の強い奴でしてね。まあまあ、聞いてくださいよ。ここで一曲、○○」(稲川淳二風に)
*
――星佳にスポットライトが当たる。
星佳、一曲歌う。(○○)
ギターの伴奏とともに、右側の椅子に座ったミュージシャンの手元をスポットライトが照らす。
ミュージシャンの顔は暗くて見えない。
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