人生の選択

白井黒鳥(KS)

第1話

 皆さんは子供の頃にこんなことを思ったことはないですか?自分はなんでもできるしなんでもなれると。僕もこの漠然とした自信を持っていたものです。

 中学に入った頃も僕は自分がなんにでもなれると思っていました。しかしこの漠然とした自信は呆気なく粉々に砕けさってしまったのです。

僕は出会ってしまったのです、

 『天才』という人に…

僕は走りには自信がありました。小学校のかけっこでは負けたことがなかったのです。しかし僕はこの時圧倒的差をつけられて大敗しました。彼はそれでも余裕のある表情を浮かべていました。その後も僕は色々なことで彼に挑みました。しかしまるで歯が立ちませんでした。僕はここであゝ彼が天才なのだと思いましたと同時にどれほど努力しても勝てないという絶対的差に自信は砕けさりました。

 それからというもの僕は頑張るということをやめてしまったのです。

 僕は街のそこそこの高校に進学しました。僕は何度この言葉を言われたでしょう『もっと頑張りなよ』『もっとやる気を見せてよ』と、だけど僕はかす耳を持ちませんでした。どれほど言われても心に響かなかったのです。

 その後僕は親に言われ地方の大学に進学しました。そこで私は恋をしました。淡い恋でした。彼女は良い人でした、お淑やかで才色兼備な人でした。僕は彼女に惹かれていきました。

しかしこの時脳裏にあの時の大敗がよぎりました。そして自分は彼女には釣り合わないと自分に言い聞かせその恋心を押し殺しました。

 大学を出た後僕は市役所に就職しました。しかし向上心を一切失っていた僕にどんな仕事が巡ってきましょうか。先輩にはお前は努力ができないのではないしないのだ。そんなものに仕事は任せられん。と言い切られてしまいました。まぁ当たり前です。それでも僕は仕事をし続けました。辞めたとしても、次の仕事を見つけられる保証がなかったからです。いつの間にか酒とタバコの数が増えていきました。

 僕は今病状に伏せっています。きっと努力しなかった罰が当たったのでしょう。僕の人生きっとターニングポイントはたくさんあったはずです。どこで間違えてしまったのでしょう。あゝ後悔先に立たずと言いますが本当ですね。過去に戻れるなら高校生の自分を殴ってやりたい気分です。しかし今となってはどうすることもできません。

あゝなぜ自分は何もしなかったのでしょう。今となってできることはベッドの上から光刺す窓の外の空を見るしかありません。


 僕はもう疲れてしまいました。

 

 今日は月もない真っ暗な夜だ…

 こんな日はひと恋寂しくなるな

 そう思いながら

 

 僕はそっと目を閉じた。

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