第一章
第1話 AKIRA IS NICE GAY
体力が0になり、三分間蘇生されなかった場合、その人物は棺に入った状態で一番近くの教会へテレポートさせられる。
これを教会送りと言うのだが、未だにその原理は不明である。
だが、テレポートした数は数えきれず!
今では教会送りについての論文を書けそうな高校生、アキラ教授は今日の昼休みも、ここ平戸中央高校の教室の机に座りつつ、テレポート学会に所属する同級生の男子からの熱い質問に答えていた。
『教授、本日のテレポートはいかがだったでしょう? あ、もうアキラかになってましたね!』
『教授、テレポートする時、股間がフワッとする感じはあったでしょうか? あ、フワッとする程大きくないの、アキラかでしたね』
『マオ准教授との恋愛について、進展はありしたか!? あ、童貞なのはアキラかでしたね!』
「お前ら一回表出ろや! 毎日飽きもせず、人をおちょくりやがって!」
しかし本日も教授の機嫌は雷だった模様。
残念ながら教室は今日も、文房具が飛び交う荒れ模様になってしまった。
そんな、そんな荒れ模様な教室に一人の閃光が教室のドアがガラガラと開いて舞い降りた。
「オーケー話は聞いたわ、変わりに准教授の私が答えましょう。 AKIRA IS NICE GAY」
『『『おー!』』』
『やはり、あの噂は本当だったのか……』
『あの、学校一可愛いギャルであるマオちゃんに反応しないのも変な話だしな……』
『割とそんなのにもオープンな世の中なのだから、堂々とカミングアウトすれば良いのになぁ〜』
《アキラは良いゲイです》
それは学会に衝撃を落とすと共に。
「マオ、お前!?」
「ふっふーん! だって〜、私みたいな美女中の美女を大切に扱えないんだから、そう思われても仕方ないよね〜」
「胸張って言える事か、バカ!」
教室の天気を更に荒れた様子に変化させる。
だが、この荒れ模様は始まりに過ぎなかった。
それは、人型ゴリラが教室に降臨してしまったからである。
「お〜うテメェら〜! 朝から何騒いでんだ?」
『うわ、
『平戸中央高校に生息する約1.85メートル級の巨大ゴリラです、教授!』
『八重歯で目つきの悪い日焼け美女に化けたゴリラです、教授!』
「うわ、お前ら俺を推すな、推すな!」
生徒達に生贄にされた教授……もとい、頼りにされ、嵐の前線へと押しやられたアキラが顔を見上げると、美女型ゴリラの怒り心頭の笑顔と目があってしまった。
そして次の瞬間。
「だーれがゴリラだ、だーれがぁぁぁぁぁぁ!?」
ジャージを着たゴリラ教師がアキラ教授の足を掴んでジャイアントスイングする事によって発生したトルネードは、机や椅子を壁や窓へ向け、激しく吹き飛ばす結果を生んだ訳だ。
なお、そのトルネードにより、一度体力0にになった教授は、後にその様子をこう語る。
「俺、悪くないよな!? 祭先生、酷いよな!?」
…………。
「おーうお前ら、授業始めるぞ〜! っとその前に!」
先ほどまで発生していたゴリネードにより、廃墟の様にボロボロだった教室は、ゴリマジックにより、元どおりの綺麗な教室へと姿を変えていた。
そして、ボロボロになった生徒の回復、および教会送りになった約1名の蘇生もバッチリ行われた。
そう、この人型ゴリラは怪力を持つだけでなく、復元、回復魔法まで使えるのだ。
だが、それが認知されているのはこの近辺のみである事は実に残念と言える。
しかしながら、いつかビフォーでアフターな番組で、その匠のテクニックを見せつけて欲しいと思うのが、人間の性ではないだろうか?
さて、ゴリラに関する話は終えて、人型ゴリラこと
「まず、俺が聞いた話なんだがよ、何でもレアなニワトリがこの辺りに出現したらしいんだが、何がレアかってそのニワトリから生まれたヒヨコがだな、弱いくせに倒すと必ずレベルが上がるらしいんだ。 まぁでかいニワトリなんて、滅多に見れないしな、お前らには関係ないか! あっはっはっは〜! だけど、ニワトリはレベル253あるし、お前らレベル50程度の子供なんて簡単に蹴散らすから注意しろよ」
《ここで説明しよう!》
彼女のゴリラ語が長すぎて分からない読者も多いだろう!
そんな彼女のゴリラ語を訳すとこうなる!
『メタルなスライム的な奴が現れた!』
『ニワトリ強い!』
そう、彼女は強くなれるチャンスと言っているのだ!
そして、そんなゴリラ語の話を聞いたアキラ教授とマオ准教授は。
((朝のアイツじゃん!))
そう心の中で叫ぶ。
しかし、その時の二人の表情は、マジかよ!と言わんばかりの焦り100%で出来ていた為。
(((教授達、会ったんだな、ニワトリに……)))
同級生の男子からバレても仕方が無かった。
そう、彼らはいつの間に、ニワトリトークと言う台風の目の中に閉じ込められたのだ!
そして、男子生徒達から二人に向けられる欲望の目線……。
(教授に媚び打って、ニワトリの情報を聞きたい……)
(他の奴を出し抜いて強くなりたい……)
(マオちゃんに協力して、一途な俺を見てもらって惚れて欲しい……)
そんなドロドロとした黒い欲望の濁流が、彼らを襲おうとしていたその時!
『ホント、男子ってバカよね、顔に下心が出てるし!』
『なんでウチの学年ってマトモな男子が少ないの?』
『どうせ山で猿に育てられた連中ばっかりなんでしょ!』
女子達の冷たい言葉の数々が男子の動きを凍らせた。
しかし、何故彼らは凍りついたのか?
そう疑問に思う読者もいるだろう。
その答えを解く鍵は、彼らが皆童貞であると言う事実。
それが何故、答えの鍵になるか?
それは。
計測器具の感度も、新品の方がええやん?
と言う事である。
もっと分かりやすく言うなら、新品でセンサーの感度がいいからこそ、彼らは女子達の事に敏感なので……。
だからこそ、今男子達をゴミを見るような目で見るアキラ教授とマオ助教授の様に軽蔑するわけではなく、優しく丁寧に扱って欲しいモノなのです。
そしてそんな教室の中に
「おい、授業中だぞ、お前ら……」
静かにゴリラ教師の祭の声が響くのであった。
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