転々転々転生悪役令嬢逹

isidaiori

第1話

「お前との婚約を破棄する!!」

ダンスホールの大階段の中段に立った王子は、そう言って段下の令嬢に指を突きつけた。彼の横には可愛い恋人が

「は?」

「は?」

「は?」

「は?」

「は?」

そこは大学の卒業パーティ。まさに悪役令嬢が婚約者に悪行を追求され、そして、断罪され、婚約破談を宣告されていた。

「あなた、誰?」

段下には数人の令嬢が

皆、ものすごい美人で金髪縦ロールでナイスボディ、ゴージャスなドレスを見事に着こなしていた。

そして、全員が突然の事に呆然としていたのだった。

「え?」

階段に立ち並ぶ男性達

みんな金髪にイケメンで金糸の刺繍の入ったスーツを着こなしていた。そして彼らはそれぞれ、ピンクヘヤーの小柄な女の子の肩をしっかりと抱いていた。

「え?」

男性たちは、その状況を把握できず、呆然とする。

「えーと、貴女は、テレジア・マーシャバングス公爵令嬢ではありませんか?」

一人の男性がそう問うと、女性たちは口々に

「いいえ」

と、答えた。

その中で一人

「それ、私の妹です」

と、答えたら、男性は

「そうそうそれ」

と、勢い込んだが

「でも、今年5歳ですよ。貴方と婚約?まさか、あははははー」

と、笑う。

「え、すみませーん!キャシーさんはいませんかー」

と、誰かが言うと

「それ、私ですけど、あなた、私の婚約者じゃないですよね、私の婚約者は5歳年上で、いま海外出張中ですから」

「えー?でも、キャシー・エドモンドさんでしょ」

と、聞くと

「ちがうわ、家族や親しい友達はキャシーとよぶけど、正式には、キャサリーヌ・フラウ・ドップラー公爵令嬢ですわ」

男性が

「えーとにかく、あなた達にはマリア・スコット男爵令嬢に危害を加えた疑いがあるんですけどー」

というと、女性たちは

「そんな人知らなーい」

「具体的にどんな事をー」

「貴方の横の人?見たことなーい」

と答えた。


「私さー、卒論が忙しかったから、ずーっと研究室こもりっぱなしだったのね、嫌がらせする暇ないんだけど」

と、スタイルのいい女性が答えると

「私なんか交換留学生でほぼ一年海外よ。んで、卒業式だっていうんで3日前に帰国したばっかり」

「私実習でずーっと他県の施設に居たんだけど、卒論が済んだのは2日前よ」

他の女性も次々に答えた。

「何を言っている、君たちは派閥の女性を使って嫌がらせをしたのであろう!』

と、男性が指を突きつけると

周囲の女性達は

「みんな実習やらゼミでいそがしいから、そんな暇ありませんわ」

と、大合唱。

「ところで、あなたと一緒にいるその方?なんかすっごくお若いですけど学部と学年は?」

「えと、16歳、近隣県立高校一年生です」

と、ビンクヘアの女性は答える。

すると、周囲の女性から

「うわ」

「ロリコン」

「キモ」

「引くわ」

「おまわりさんこっちです」

の声が

それを受けて紫のドレスを見事に着こなした美女が

「はあ?高校からここまで鉄道で3時間かかるじゃないの、あなた、学校に行かないで何してるの?」

というと、ビンクの女性は肩を震わせて泣き出した

「ひどい!こうやって、私をなぜいじめるのですか!、ここは、アロハカンパニーの『学園プリンセス、光のボンジュールストーリー』じゃないんですか!」

というと

「は?」

「何それ?」

と、女性たちが答える

と、他のピンクの女性が

「違うわよ、ここはプリズムくりえいとの『花と光のエチュード、王子様とラブラブショー』よ!」

というと、他のピンクの髪の女性が

「え?私、今まで、アルファゲームクリエイトの『プリンプリンハイスクール、ハッピー王子様、今日もアイラブユーから始めよう』と、ばっかり・・・」

「ああ、そういえば、私、『マリア』なんて名前じゃないわ」

と言い出す始末。

会場の女性たちはドン引きである。


「え?」

「もしかして」

「みんな」

「入れ替わってるー」

みんな驚愕の表情である。



一人の女性が腕を組、顎にてをあてて言った

「考えられるのはただ一つ」

全員がそちらを見る

「プロデューサーが廊下でぶつかってひっくり返って企画書がごちゃごちゃになった」

会場は重い空気に包まれた





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