お忙しいほうが……


 一方、東京聖女女学校に転移した美子さん。

 多目的文化センターにある、屋上階段室から地階におり、地下に張り巡らされた通路を通り、寄宿舎地下の集会室へ。

 本日は日曜日、屋上の転移ゲートは使用できます。

 舎監の真野静香さんが、待っていました。


「真野さん、なれましたか?」

「はい、皆さん、良い娘さんたちで、可愛いですよ」

「とにかく皆さんとお会い致しましょう、いま、何人おられるのですか?」

「全員で十二名です」


「では皆で、お茶でもしましょう」

 美子さん、手を一振りして、テーブルを並べます。

 その上にテーブルクロスを出し、チョコレートファウンテンの機械を出しています。

 四十名分ぐらいは利用出来そうな、業務用の機械です。


 チョコレートなんか、溶けた状態でだしていますよ。

 しかもなんと同じものをもう、一つ出しています。

 どうやらチーズファウンテンを、目論んでいるようですね、こちらもすぐに食べられる状態です。


 大皿にパンの角切り、各種フルーツを山盛りにし、ワインとシャンパンも、ダースで出しています。

 勿論、シャンメリーはさらに大量にだしています。

 ものの二三分で用意した、美子さんです。


「真野さん、皆さん、呼んできて下さい♪」

 稲田さんが、

「それにしても豪快ですね、余るのではありませんか?」

「いいじゃない、次々と皆さん戻ってこられるのでしょう、パーティーに間に合えば、来ればいいのですよ」

 

 生徒さんたちがあつまりましたが、見慣れない女がいるので戸惑っています。

「初めてお目にかかりますね、吉川美子という困った女です」

「これからも会う事が有るでしょうから、覚えていてね」

 吉川美子と聞いて、ますます固くなっています。


「本日は皆さんとお茶でもしようと思いまして、こんなものを用意しました、難しい話はなしです」

「まぁ乾杯しましょう、そして食べましょう、チョコレートなんて別腹でしょう?」


 生徒さんたちはシャンメリーで、美子さんと真野さん、そして稲田さんはシャンパンで乾杯です。


 美子さん、チーズファウンテンにパンを突っ込んでいます。


 結構パクパクと美味しそうに食べ、グビグビとシャンパンを飲んでいます。

 さらに白ワインにも手を出しています。

 美子さんが、余りに美味しそうに食べるのに、つられたのか、生徒さんたちもワイワイと食べています。

 

「音楽がないと寂しいわね」

 バンジョーを持ち出して、景気のいい曲を弾き始めました。


 フォギーマウンテンブレイクダウン、名曲中の名曲、皆さん、若いですから、すぐにノリノリですね。

 さらに、アイ・ソウ・ザ・ライトなんて弾き始め、生徒と合唱などしています。

 最後にデイブレイク・イン・デキシーを弾いていました。


 この後、シャンメリーなどを手に、一人ひとりについで回っていた美子さん。

 稲田さんからみれば、オッサンの行動ですが、純真な女学生さんたちは、感激したようでした。


 直に話をし、女神様が悩み事など聞いてくれたのですからね。

 ただこの十二名は、後でかなりやっかみを受けたそうです。


 結局、美子さんは午後の五時まで大騒ぎをして、ここの温泉に入り、大慌てで宇賀ビルへ帰っていきました。

 この後、待っていた森彰子と宇賀ビルの一室で、かなり淫らな事をしたようです。


 稲田さんが後で宇賀さんに、

「さすがの美子様も、生徒たちをつまみ食いしなかったのですよ」

「お忙しいほうが、悪さをしなくて良いかも知れませんね」

 と云ったとか……


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