明子ちゃん、格子です


 さて十時になると、美子さんは宇賀ビルに転移しました。

 宇賀さんと稲田さんがやってきます。

 ここでも仕事をしている美子さん、熱心ですね。

 ただ夜の仕事を、朝っぱらからしているのですが……


 で、お昼になり、山野家と浮田家が呼ばれています。

 お弁当などを持ち込み、会食しながら、美子さん、色々な話を聞いています。


「そう、写真集が売れすぎで、品不足になったの?」

「モデルは誰かって、問い合わせが殺到し大変でした」


 『山野レディファション』は、いまでは女神アウロラ奉仕協会に出入りする優良会社、『宇賀不動産開発合名会社』の子会社となっています。


「東京聖女女学校の制服、かなりの評判ですね、女神アウロラ奉仕協会の制服も宜しくね」

「浮田貴子さん、明子ちゃんのことだけど、よろしいのですね」


「浮田の女は、美子様にお仕えすることが使命と考えています、京子同様、可愛がってください」


 というわけで、ここでもお仕事が……明子ちゃんの初物などを頂き、あとは変態のオンパレードとなってしまいましたね。


 やっと三時前です、お疲れ気味の美子さんと、満足げの女たちが、宇賀ビルのロビーでお茶などしています。

 宇賀さんと稲田さん、それにクリームヒルトも一緒にお茶をしています。


 そこへ森さんが、お菓子などを持ってきました。

「今日だけは『うなぎパイ』です!」

「私三時から私用で早退となっています、六時にお待ちしていますから!」

 かなりの量の『うなぎパイ』ですね、なんでも自腹とか云っています。


「あの~美子様、少しお時間を頂けませんか?」

 稲田さんが、美子さんに話しかけてきました。

「いいですけど」

「東京聖女女学校の寄宿舎に、お出まし願いたいのですが」


「今日は日曜日、誰かいるのですか?」

「戻る家の無い娘たちが幾人か」

「伺いましょう」

 美子さん、即答しました。

 このあたりが好かれるのでしょうね。


「森さん、六時には戻ってきます、待っていてくださいね」

「本当に戻ってきてくださいよ、必ずですよ、磨き上げて待っていますから!」


 美子さん、稲田さんを連れて東京聖女女学校へ、森さんは自宅へ戻って行きました。


「行ってしまわれたわね……」

 宇賀さんが残念そうに云いました。

 クリームヒルトが、

「とにかく明子ちゃん、格子ですね、おめでとう」

 恥ずかしそうな顔をした明子ちゃんです。

 

 お京ちゃんが、

「お祝いをしてあげるわ、カラオケでも行かない?」

「お母さん、いいでしょう?」

 と云いますので、貴子さん、頷いています。


 娘たちがカラオケに行ってしまうと、宇賀さんが、「いい機会ですから、年越しの話でもしますか?」

 この後、『宇賀不動産開発合名会社』の、年末の仕事の話となったのです。


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