転移少女百合魔界~魔界へ転移した彩花とクリスティア、そこには女の子しかいない新たなる世界~
小鳥遊凛音
第一章
私の名前は黒澤 彩花 (くろさわ あやか)、ごく普通の女子高生をやっている。
髪の毛は黒のツインテールで明るく活発な元気な女の子って言ってもらえればイメージが沸いて来るかな?スリーサイズは・・・勿論秘密♪体重もだよ♪
友達と順風満帆で来ていた学校生活、エンジョイしながら趣味や遊び、勿論学業もしっかりとやっているんだけど・・・
私には外国から来た親友の女の子がいる!その子の名前は♪
私の名はクリスティア・・・クリスティア=カーマイオーネである。
カーマイオーネ国の時期、王の立場となる予定であった・・・カーマイオーネ国は非常に小さな、狙われやすい国である・・・
そして、何より、後を継ぐ者が私以外にいない。
私は以前侵略された時に世話になった日本と言う国にいる黒澤 鷹人 (くろさわ たかと)を訪ね、色々と知識などを学ばせてもらう為黒澤家にしばらくの間厄介になる事になった。
私の父親と母親とも国を救う助けとなってくれた鷹人とはそれ以来の親睦であり、色々とお互いに協力する事になった。今回私が訪れたのもその一環である。実は、信じてはもらえないだろうが、国を侵略して来たのは人間では無く、魔族たちであった。
鷹人は対魔師として名を馳せていた。カーマイオーネ国は対魔師などが一切おらず小さい国であり、魔族たちを排除するにも非常に難しかった。その頃日本にいた鷹人の存在を知り彼に国を守る為協力してもらった。
侵略されてはしまったものの、無事に魔族を退治し、その後、魔族がやって来たであろう結界も封印して現在に至る。
カーマイオーネを侵略するより数年程前に既に魔族たちは地球上に転移して来ていたのだが、対魔師と言う者のいたおかげで今の所は平穏を保っているのだ。
そしてその技術も私は今後の為にも知っておくべき事だろうと自身の意志の下、黒澤家に厄介になる事にした。
そして、その家には1人の娘がいた。
黒澤 彩花だ。
彼女は至って普通の女子高校生である。
だが、黒澤 鷹人である父親、そして、そのパートナーである舞花・・・
舞花もまた、対魔師として活躍していたと言う。
「ってちょっと・・・クリスティア?詳細を伝えるのは良いけど、クリスティア自身の紹介がほとんど無いよ?」
「えっ!?・・・心の声を!?・・・い・・・いや、私の事は良いだろう?」
「どうして?・・・クリスティア自身の事もちゃんと紹介しなくちゃだよ!?」
「えっと・・・私は皆に紹介する様な者では・・・」
クリスティア=カーマイオーネ・・・カーマイオーネ国のお姫様。
金髪の綺麗な透き通った長い髪の毛をポニーテールにまとめていて、剣術もやっていたらしく、声も凛々しく言葉遣いもまさに姫騎士と言った感じで凄く格好良くて日本へ来た時もクラス中の皆の注目の的だったんだよね・・・それでいて気遣いが出来るとても優しい一面もあったり、ちょっとした所で見せる照れた表情や仕草もギャップがあってとても可愛くて、告白なんかも頻繁だよね!?男女問わず・・・凄いよね!?クリスティアって・・・
「コ、コラ・・・彩花!?・・・私の事は・・・恥ずかしいじゃないか!?・・・それに盛り過ぎじゃないか!?」
「えぇ~っ!?盛ってなんて無いじゃない!?本当にそのままの事実を伝えただけなんだし!!」
「そうそう♪クリスティアはクラスの・・・いいえ!学校中のアイドル的存在なんだし!もっと堂々とすれば良いのに!」
そう言って話に入って来たのは、同級生の羽井賀 聖(はいが ひじり)で情報屋みたいな感じで色々と動いている新聞部の女の子。明るくオープンな子!
ショートカットのお姫様カットで特徴的な見栄え!
情報収集は怠らず常に学校のあらゆる情報を掻き集め、校内新聞を常に発行し続けている感じかな♪
「あっ!?そうそう、知ってる?この学校の7不思議があるんだけどね?更に最近8つ目の不思議発見!!」
「えぇっ!?何それ!?8つ目の不思議が発見されたって言うの?」
よくある学園7不思議・・・私たちが通っている私立 聖 夕陽ヶ丘 (せい ゆうひがおか)女子高等学校にも7不思議が存在していた。ところが今の情報からすると8つ目の不思議が出て来たらしい。
「そうそう!私たちの教室って2階でしょ?1階が1年生で2階が2年生、3階が3年生とまさに学年が上がるに連れて上の階へと上がって行く分かりやすい構造じゃない?・・・実は、最近、4階が存在していると言う噂があってね?」
「嘘でしょ!?・・・この学校って3階建てじゃない!?まさか・・・流石に4階が存在するなんて物理的に言って有り得ないでしょ!?」
そう・・・私たちの通っている学校に4階は存在しない!別館があるんだけどそこも3階建て。じゃぁこの噂って何だろう?
「私がこれまで教えて来た情報に嘘偽りなんてあった?」
「確かに無かったけど・・・流石に今回の情報は・・・ねぇ?クリスティアもそう思うでしょ?」
「えっ!?・・・うん・・・確かに物理的に言って私たちが外から見ている光景も3階建てであって4階へ向かう階段すら見当たらないからね・・・」
「ところがどっこい!決まった時間にだけ存在しているみたいなの!!」
「4階へ昇る為の階段の事?」
「そう!!深夜0時にその階段が存在するらしいの!!その階段を昇り4階へ進んで行くとそこは異世界へ通じるトンネルになっていて・・・」
「ははははは♪本当よくある怪奇現象染みた話よね!?・・・うん、誰も深夜0時にここにいないでしょ!?誰かがデマ流したんだよ!?」
その様に彩花は冗談話だと笑い飛ばした。
だが、私は何かあるんじゃないかと普段では信じ難いと思う事もこの時ばかりは気に掛かって仕方が無かった。
帰宅後、私は恥ずかしながら、昼間噂されていた学園7不思議について彩花と話をする事にした。すると彩花から思わぬ返事があったのだ・・・
「うん・・・あれはひょっとすると魔界へ繋がっているんだろうね・・・」
「やはり君もその様に?」
「うん・・・ただ、皆がいる手前、下手な事を言ってもバカにされて終わってしまうだけだし、情報屋が黙っておかないよね?クリスティアの国の件や魔族たちがこちら側の世界へ現れている現実を目の当たりにしているからこそクリスティアは何かあるって踏んでいるんだよね?」
「あぁ・・・その通りだよ、彩花・・・」
流石、鷹人と舞花の娘だ!
私は、彩花も私と同じ事を考えてくれている事に安堵感を覚えた。
早速今日の深夜0時前に実際に学校に階段が現れるのか確認を取る為、私と彩花は皆が寝静まった事を見計らって彩花と共に学校へと出向いた。
「ねぇ、クリスティア?・・・もしもだよ?・・・もしも実際に階段が現れて向こう側、つまり魔界へ足を踏み入れたら私たち戻って来られると思う?」
「どうだろうね?・・・私も魔界へ直接足を踏み入れた事は無いから何とも言えないけれど、魔族たちがこちら側へ転移して来れたのだからきっと私たちが例え向こう側の世界へ足を踏み入れたとしても帰って来られる可能性はあるんじゃないかな?」
そう・・・行きは良いが帰りは?・・・その様な事を言いながら私たちは、いつも通っている学校のいつもとは違う真っ暗な校舎の中で立っていた。
けれどこのまま話をしていても仕方が無い。実際に階段が現れると噂される0時には後5分程ある。そして、いよいよその階段が現れると噂されている3年生のある教室の隣側の下り階段があるフロアの前へと立ち止まる。
「彩花?こう言う状況なのに冷静だね?怖くは無いのかい?」
「えぇ!むしろドキドキしてるかも!!」
そうか・・・対魔師親子の娘だったな・・・恐らく幼少期の頃から好奇心に溢れ色々な事を経験して来たのだろう。少々おてんばさんだったのかも?
かく言う私は、はっきり言って・・・怖い・・・
今も膝がガクガクと震えている・・・けれど、それを見せる程やわでは無い!
彩花に悟られない様にしなければ・・・私の威厳が・・・
「わっ!!!」
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」
私が考えていると彩花が急に驚かせる様に言った。
「あ・・・あや・・・彩花・・・!!何を君は!!!」
「怖いんでしょ?・・・いいんだよ?素直になって?」
「いやっ!!私は驚いただけだ!!少し考え事をしていただけで・・・その・・・」
「ほらほら~♡可愛いなぁ~クリスティアってぇ~♪」
「いっ!!意地悪だなっ!彩花は・・・」
意地悪だ・・・本当に・・・私の国が魔族たちに滅ぼされ掛けてしまい魔族に対するシビアな考え方をしている・・・それを見透かしての振る舞いだろう・・・
直ぐに考え事をしていると顔に出てしまう昔からの癖が祟ったのであろう・・・
「ほら、クリスティア?そろそろだよ!?」
「あぁ!!」
そう言うと彩花はスマホの時計を見つめながら0時になるのを待った。
そして・・・深夜0時になった・・・
「0時よ!?どうかな?」
「あぁ・・・だが・・・何も無い様だね・・・」
「やっぱりデマだったのかな?」
「そう・・・だね・・・」
やはりそんな都合の良い話が存在するはずが無い・・・
ましてや私たちが通っている学校にこの世界と魔界を繋ぐゲートが現れるはずなど・・・
そう私が考えながら彩花に「帰ろう」と声を掛けようとしたその時だった!!
パァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!
眩しい光が一面に広がり私たちは目を塞いだ。
そして瞼の裏側で真っ白に広がっていた空間が再び闇へと堕ちて行ったと思い、私たちが瞼を再び開いた時・・・
「クリスティア?・・・これって!?・・・」
「あぁ・・・間違い無いよ!!確かにこの学校の校舎は3階建てで私たちは3階にいる・・・」
「じゃぁ・・・やっぱりこの階段は!?」
「うん・・・噂は事実だったみたいだ・・・」
0時丁度ではあったが数十秒程誤差があっただろうか・・・確実に噂の通り、3階の階段フロアには昇りの階段が出現していた!!
私たちは早速その階段に足を踏み入れて1段1段と上へ昇って行った。
「確か聖が言っていた話だとこの階段って5分程で消えちゃうって言ってたよね?」
「そうだね・・・早く昇り切ってしまおう!」
長い時間現れている訳では無く、5分過ぎると消えてしまう。階段が消えてしまうとゲートも消えてしまう・・・急いで私たちはゲートの前へ階段を昇り切った。
クリスティア・・・やっぱり表情が硬いな・・・きっと自分の国の事についての感情がまだ癒えていないのね。
「いよいよだね!・・・彩花?本当にこのゲートをくぐっても良いのかい?私だけで向こうへ行っても・・・」
「それは言わない約束でしょ?それにちゃんとパパとママには言っているの!」
「2人にかい?話を既に!?・・・そうか・・・なら一緒に・・・行こうか!!」
本当に彩花は凄いよ・・・私が知らない間に色々な事をこなしている。私も見習わなければいけないな・・・
そう思いながら私は彩花の手を繋いで一緒にゲートをくぐる事にした。1歩ずつ確実に・・・
ゲート内は真っ白な空間で1本道だけが確実に分かる様に1直線上に導かれていた。
「何だか凄い空間だよね?・・・ずっと歩いて行けば良いのかな?」
「うん・・・1本道だから迷う事は無いだろう・・・ただ、後どれ程歩けば良いのかゴールが見えて来ないから何とも言えないね・・・」
そう・・・ただひたすら道が続いている。白い空間なだけにゴール地点があれば直ぐに発見出来るはずであるが道はただひたすら向こう側へと続いていた。
一体私たちはどれくらい歩いて行けば辿り着けるのだろうか?
「ねぇ!あれ・・・何か黒い点の様なものが見えない?」
「えっ!?・・・あぁ、確かに見えるね!ひょっとして出口の扉なのだろうか?」
しばらく歩いていると先の方に黒い点の様なものが見えた為私たちは引き続きその黒い点の見せる所まで歩いて行った。すると・・・
「やっぱり扉ね・・・普通に開ける事が出来るのかな?」
「いや・・・ここは私の所持している剣で!彩花!?少し離れていてくれないかい?・・・・・・・とぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
私はいざと言う時の為に剣を持って来た。
それを思いきり振りかざし扉を斬り付けてみた!
バシュッ!!!!!!!!!
ドッガァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!!!!
「扉が壊れた!?・・・凄いよ!!こんなに大きな扉をクリスティアの剣技1つで!?・・・」
クリスティアが破壊した扉の向こうは夜であるかの様に暗い空間が広がっていた・・・
ここって魔界?なのかな?
「さぁ、彩花!進もう・・・」
「うん・・・でも、少し気味が悪いね?・・・」
立ち止まっていても仕方が無い。私たちは見える先を進んで行く為に異界の地なのか分からないけれど扉の向こうへと進んで行く。
「あれ?・・・ここって学校?・・・」
「あぁ・・・確かに学校の様な・・・けれど私たちが通っている学校とは雰囲気が違った感じが・・・」
何だろう?私たちが通って来たのってゲートじゃなかったのかな?ただ別の場所へ移動していただけだったのかな?
学校らしき場所と思われる所へ辿り着いた私たちはその学校らしき場所から外へ一度出てみる事にした!
「うん!確かにここは私たちの住んでいる世界の様に見えるけれど違う・・・」
「うん・・・少し違和感があるよね!?・・・でも魔界なのかな?魔界ってもっと殺伐とした洞窟や触手とか蠢いている場所だとばかり・・・」
彩花?・・・君はどう言う知識で魔界=洞窟や触手だと思っていたのだろうか?
「彩花?少し妙だ・・・私から離れないでくれないかい?」
「うっ!!うん・・・分かった・・・」
しばらく外を歩いているとやはり異世界なのだと分かる様な部分が見え隠れして来た。
街の様な場所ではあるけれど、直ぐ近くに森の様な樹木が大量に生えている場所が見えて来たり、建物自体が既に我々の世界とは構造が違っていた。
「やっぱりここって・・・」
「間違い無い様だね・・・ここは魔界だよ!」
「でも、まだ誰も現れていないしどうして魔界だって?」
「匂いだよ・・・私が国にいた時に滅ぼそうとした魔族から匂っていた匂いに近い匂いがするんだ!!」
間違い無い・・・私の国が魔族たちに侵略されようとしていた時と全く同じ匂いがしている。
魔界の仕組みや詳細についてはまだ確認が取れていないけれど、恐らく魔族たちの中でも我々人間に近しい存在や正義感を持った魔族たちがいると言うのをチラッと聞いた事がある。魔族だからと言って全員悪い事をすると言う概念は捨てた方が良さそうだ。
「魔族って、皆悪い事するのかな?・・・だとすれば、本当に魔界へやって来たのであれば私たちかなり危険な・・・」
「いいや・・・それは言い切れないと思うよ!・・・魔族が全員悪い事をするとは限らない・・・はずだ・・・」
「・・・・・そうか!なら様子を見ながら仲間になってくれそうな魔族を探すのも良いかもしれないね!」
「そうだね・・・きっと仲間になってくれる魔族たちもいる事だろう・・・」
夜の道を歩きながら私たちはその様な会話をしていた。
けれど、私たちは最も重要な事を忘れてはいけない・・・
「寝泊りする場所を・・・」
「そうだね・・・私たちの世界も深夜だったし、私そろそろ眠くなって来たかも・・・」
「あの・・・あなた方はもしや?」
私たちが寝泊まりする場所について話をしていた時に声を掛けて来た女性がいた・・・
見た目は私たちと同じだけど、耳や尻尾の様なものが生えていた・・・やっぱりここって魔界だったのかも!?・・・
「あぁ・・・私たちは君が考えている通り人間界から来た人間だ!」
私は尋ねて来た魔族らしき者にこの様に答えた・・・
オーラも特に殺気立っておらず悪い魔族では無いだろうと踏んだからだ!
「やはり!!そうだったのですか!?・・・私たちみたいに耳や尻尾が無いからひょっとすると・・・って思いまして・・・」
「その様子からだとやはりここは魔界で間違い無さそうだね?」
「はい!ここは紛れも無く魔界です。ただ・・・」
魔族の少女はその様に言った直後口をごもった・・・
「何かあったのかい?この魔界の地で・・・?」
「はい・・・実はこの魔界は魔族の頂点によって支配されようとしているのです・・・」
「何だって!?・・・」
何か違和感を感じてはいたけれど、魔界でも「支配」される状況が発生していたと言うのか!?
「その支配が始まったのは何か切っ掛けや時期は?」
「はい・・・5年程前に前代の魔王様が病死されてしまわれ、引き継がれた現魔王様が・・・」
「5年前だって!?・・・やはり・・・現魔王に変わってから私たちの世界へも・・・」
5年前・・・私の国が魔族たちに滅ぼされようとした時期、そして魔族たちが人間界へ転移して来た時期を考えるとほぼ間違い無い!!この4年半、魔族たちの存在が人間界へ知らしめられた・・・
「やはり人間界へも手が・・・お願いがあるのですが・・・」
「魔王を退治してくれって言う願いなら心配は無用だ!元よりそのつもりで私たちはこちら側の世界へやって来たのだから!」
「あぁ・・・ありがとう・・・ありがとう御座います。どうか・・・この魔界をお救い下さいませ・・・伝説の勇者様!!」
「伝説の勇者?・・・」
「はい・・・予言で人間界から伝説の勇者様が我々の世界へやって来て魔王を倒して下さると・・・」
「ぷぷっ♪」
その様に魔族の少女が言うと彩花が笑った・・・何故?
「ごめん・・・確かに勇者っぽい格好だからだろうね!?・・・」
「彩花・・・」
「クリスティア?気付いていないかな?既に勇者っぽい・・・ううん!姫騎士っぽい鎧と剣、装備は完璧みたいだよ?」
「えっ!?・・・何だこれは!?・・・」
「私も巫女さんみたいな感じで格好良いよ!これって戦う時の服装みたいだし♪」
確かに!?・・・何故!?・・・いつも間にこの様な姿に変わっていたのだろうか?
「おふたりはゲートから来られたのでしょうか?」
「あぁ・・・そうだよ!?・・・長いゲートをくぐってこちら側へやって来た!あちらの学校の様な中から・・・」
「でしたらゲートの扉をくぐった時に今のお姿になったのだろうと・・・」
どうやらゲートの扉を互いにくぐるとその場所で自身の能力に応じた戦闘服の様な姿に変えられていたのだろうと少女は教えてくれた。
「ゲートをくぐるとエネルギーを奪われてしまいます。それに、恐らく人間界も深夜だったのだろうと思われます。お疲れでしょうから今夜は私の家にお泊まり下さいませ。」
「良いのかい?」
「確かに、ゲートをくぐり切った直後から体が凄く重くて・・・」
「人間界では時差などの影響で体が順応するまで体力的にかなりの負荷が生じると伺った事があります。恐らくその類に近いのだろうと思います。」
そうだ・・・ゲートを歩いている時よりこちら側の世界へ辿り着いた時から重力的な何か負担がある様にも思えた。その影響だったのか・・・
けれど、少女のおかげで寝泊まりの悩みに関しては解消出来た。私たちは早速案内してくれた少女の自宅へ厄介になる事にした。
「さぁ、どうぞお入りください。」
少女の自宅へ到着した!
人間界のごく一般的な家の様な所へ案内され深夜でもある為申し訳無い気持ちもありそっと家の中へ入らせてもらう事に・・・
「こんな真夜中なのにごめんなさい・・・私たち右も左も分からなくて・・・」
「いいえ♪遠慮はしないで下さい。私も今は1人で暮らしているので楽しくなって逆に感謝しています。」
「ご両親は?」
「はい・・・両親は魔王様に・・・」
「そうか・・・なら早く魔王を倒さなければいけないね・・・」
「いいえ!・・・殺された訳では無いのですが・・・洗脳されてしまい、魔王様の配下にされてしまいました・・・」
「何だって!?・・・洗脳されて配下に!?・・・厄介な事に・・・!?」
「一体何をお考えなのか分からないのです・・・えっと・・・」
「あぁ!すまない、名前を言っていなかったね・・・私はクリスティア、そしてこちらが・・・」
「彩花よ!?宜しくね!・・・って変な魔王よね!?・・・洗脳して仲間にするの?・・・でも殺されちゃうよりはマシかもしれないわね・・・」
「そうなんです!殺されちゃうのかと思って息が止まりそうになったのですがそうでは無かったので・・・ですがそれでも操って自分の思う様に動かそうとするのはやはり許せる事では無いだろうと思うので・・・あっ!?私の名前はユーファーと申します。」
「ユーファーか・・・そうだね・・・心や意志を操作するのは殺す事と私は同じだろうと思うよ!・・・分かった!君のご両親も助け出す為に私たちは頑張る事にするよ!」
「クリスティア様・・・宜しくお願い致します。」
「うん!私たち必ずユーファーのパパとママを助け出して見せる!!だから安心して待っていて!?」
「彩花様・・・はい!本当にありがとう御座います。絶望的な状況でしたが明るい兆しが見えて来た気がします・・・ですが・・・パパとママと言うのは・・・?」
「ん?・・・お父さんとお母さんだよね?・・・そう言う表現はしないのかな?」
ここはやっぱり人間界と異世界の表現の違いなのかな?
「両親」と言う表現はあるみたいだけど「パパ・ママ」や「お父さん・お母さん」と言う表現は無いのだろうな・・・
ユーファーが不思議そうな顔をして私に言って来たから、改めて世界が違うと概念自体も変わって来るのだろうなと痛感していた。
「あの・・・おふたり共お腹は空いていませんか?」
「あぁ・・・私は大丈夫だよ!」
「うん・・・私も大丈夫かな!それより眠いかも・・・」
「そうですか!では、お疲れでしょうし今宵はこの辺りでお眠りになられますか?」
「そうだね!本当に助かったよ!寝泊りが出来る所を探そうとしていた所だったから!」
「うん!本当にありがとう!おかげで野宿行き回避だし♪」
「それは良かったです!私も何か大きな物音と光が差し込んで来たので目が覚めて少し辺りを探しに出ていたもので、その甲斐がありました♪」
ユーファーに色々と気を遣ってもらったおかげで私たちはその夜をユーファーの自宅で眠る事にした。
翌朝・・・
「おはようございます。ゆっくりと眠られましたか?」
「おはよう!おかげさまでスッキリしたよ!本当にありがとう!」
「おはよう・・・うん!バッチリだよ!本当にありがとう♪」
ユーファーにお礼を言うとユーファーは朝食の準備を進めてくれていたみたいだった・・・
色々と優しい子なのだろう・・・やはり魔族だからと言って悪い者ばかりでは無いと言うのは間違いでは無かった様だ・・・
「朝食の準備が整いましたので、ごゆっくりお召し上がり下さい♪」
「うわぁぁ!!凄い!!良いの?朝食までお世話になってしまっても?」
「はい!私はこの様な事しか出来ませんが・・・」
「いや!本当に助かっているよ?・・・私たちは彩花も言っていた通り、右も左も分からないこの世界へ飛び込み状態で来てしまった・・・何の知識も準備もせずに・・・ただ、私たちの住む世界で一部の心無い魔族たちのせいで・・・」
「はい・・・少し人間界へ転移した魔族がしている事についても調べた事があります・・・本当に酷い事を・・・」
食事をしながら色々と話をしてユーファーの家を後にする事にした・・・
「どうか、ご武運を・・・」
「あぁ!帰る時もこの近くだから必ず戻って来るよ!」
「次会う時はあなたのご両親も連れて来るからね!待っててね!」
「はい♪・・・心からお待ちしています。」
さて・・・ユーファーにこちらの世界の事を色々と聞きたかったが肝要な部分を掻い摘んで教えてもらえただけ良い事にしようか・・・
一先ず隣の街へ進む事にした。
どうやら魔王以外に手下が無数に存在し、悪だくみをしていると言う事を知った。
一先ず魔王だけを倒すと言う単純な考え方ではダメなのだろう・・・
「流石に日が差していると色々な魔族が外にも出ているわね・・・」
「あぁ・・・そうだね!だが先程から違和感があるのだけれど・・・」
「ん?・・・耳とか尻尾?」
「うん・・・それもあるのだけれど・・・それより・・・もっとこう強い違和感が・・・」
私は彩花が言って来た耳や尻尾・・・即ち魔族だからと言う理由だけでは無く更に強い違和感に包まれていた・・・
「ねぇ、あなたたち人間よね?」
「えっ!?・・・あなたは?・・・」
「あぁ!私はね?・・・ふふふふふ♪魔王様の奴隷よ!」
「彩花!!下がるんだ!!」
「おっと・・・勝手に私から離れると首をちょん切っちゃうわよ?」
「なるほど・・・街の至る所に貴様の様な魔族がいると言う訳だな?」
「流石♪知能の高い人間ね!この子凄く可愛くて気に入ったから連れて帰るわね!あなたは少々厄介みたいだし今日の所はこれでお終い♪次に会う時は面白い事になっているから楽しみにしててね?・・・あっ!また呼ぶ時はこちらからあなたの前まで来てあげるからあなたはせいぜい周りに注意しながら進んで行く事ね!じゃぁね~♪」
シュパッ!!!!!
「彩花!!彩花ぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
一瞬で眠らされてしまった彩花が魔族に連れ去られてしまった!!
違和感の正体が掴めないまま彩花まで連れ去られ私はどうすれば良いのかその場で立ち止まってしまった・・・
ダメだ!!今私がここで立ち往生していては!!今こそ冷静さを取り戻し彩花をどうやって救い出すのか見出さなければならない!!
彩花・・・どうか無事でいてくれ!!
私が必ず君を助け出す!!
「さぁて♡この可愛い子・・・彩花って言うのかぁ・・・私の仲間にしてやろうかしら♪魔王様は特に何も仰られなかったしぃ~♪」
「ん・・・ここ・・・は?・・・クリスティア?クリスティア?何処に!?・・・私縛られてるの?何この気持ち悪いの・・・ってこれって触手?・・・嫌っ!!」
「あらあら♪お目覚めかしら?お姫様は?」
「何!?・・・あなたは・・・さっきいた魔族!?・・・私をさらったの?」
「うふふ♪あまりにも可愛くて私好みだったから♡」
「あなた女よね?・・・私そっちの気は無いわよっ!!それより元の場所へ帰しないよ!!」
「それは無理な相談ね?だってあなたはこれから私のモノになるのだから♡」
「何言ってんのよっ!!あなたもしかして悪い魔族なの!?・・・」
「「悪い魔族」か・・・それは酷い表現ね?魔王様の奴隷のこの私に?」
「魔王?・・・やっぱりあなた!!もしかして魔王に洗脳されているの!?」
「洗脳?・・・ぷっ!!あははははは♪面白い子ね!本当に可愛いわ♪ほらぁ~私の目を見つめてぇ?」
「ちょっと、顔が近い・・・・・ん・・・あぁ・・・・あぁぁぁぁ・・・・」
魔族が私の顔の前に一瞬で迫り私の目の高さに視線を飛ばし目と目が丁度合う状態に持って来た、私は目を閉じようとしたけど間に合わなかった・・・ダメだ・・・これって本で読んだ事ある・・・魅了魔法(チャーム)?
「はい♪完了♪・・・どう?今の気分は?」
「あぁぁぁ♡好き・・・です♪」
「誰が?・・・私の名前はシャールよ?」
「はい♡シャール様・・・私、シャール様の事が大好きになっちゃいました・・・♡」
「そうなの?あれだけ嫌がっていたのに?」
「はい・・・その・・・ごめんなさい・・・何だか急に大好きになってしまって・・・」
「その大好きな想いを私の奴隷として尽くす方に回さない?」
「あぁ♪・・・そうしたらシャール様とずっと一緒にいられますか?」
「勿論よ♪」
「はい!!私、シャール様の奴隷になります♪お願いします。どうか・・・どうかこの彩花をシャール様の奴隷にして下さい!!」
「じゃぁ、誓いの口づけをしましょう?それで契約完了よ?」
「はい・・・♡」
チュッ♡
「はぁい♪契約完了♡たった今からあなたは私のモノ♪私の命令は絶対服従よ?分かるわね?」
「はい♡勿論ですシャール様♡」
「じゃぁ、早速私の奴隷記念で早速最初の命令を与えるわね?クリスティアって言ったかしら?あなたと一緒にこちらの世界へやって来た子?」
「はい!クリスティアで間違いありません!」
「クリスティアを堕としなさい?そして私の元へ連れて来なさい!」
「はい♡かしこまりました、シャール様♡クリスティアを堕として必ずシャール様の元へお連れ致します。」
「私の奴隷に堕ちたら新たな能力を与える事になるの!「魅了魔法」よ!あなたも私に堕とされたみたいにクリスティアに対して同じ様に堕としなさい!一瞬でトロトロに蕩ける快楽が全身を支配し与えた者の奴隷に堕としてしまうから♪」
「はい♡勿論、頂いた能力を用いてクリスティアをシャール様のモノにしてお見せ致します♡」
「彩花・・・一体何処へ連れて行かれたのだ!?・・・」
「あの・・・どうかされましたか?」
「君は一体?」
どうやって探し出すか考えていた時声を掛けて来た魔族がいた。何!?・・・この顔立ち、まさか!?
「あなた様は人間ですね・・・ご安心を、私は魔界の情報屋をやっているミスティーと申します。」
「ミスティー!?・・・魔族・・・だね?」
「はい!ご覧の通り私は魔族です。こちらに人間界から救世主が現れる噂を耳にしまして、まさかとは思っていたのですが!?お探しの方は恐らく結界に閉じ込められ相手の仲間にさせられようとしているのでは無いかと・・・」
情報屋でミスティーと名乗る魔族は彩花の行方を結界の中だと言って来た。
どうやら彩花は先程の魔族に結界内へ閉じ込められて奴の仲間にさせられようとしているらしい・・・
だが何処に結界がありどうやって見つけ出すかは分からないだろう・・・
羽井賀 聖に似た、職業も同じ・・・その魔族に教えてもらった情報を元に私はどうして探し出すか考える事にした。
「探し出す事は困難です!・・・恐らく敵の方からコンタクトを取って来るかと・・・」
「あぁ・・・敵もその様に言っていたよ!・・・だがそれ迄待っている訳にはいかない!」
「そんなに慌てなくても儀式は一瞬だからどちらにしても無駄よ?」
ミスティーと話をしているとつい先程消えてしまったはずの敵が彩花を連れて戻って来た。
「彩花!!大丈夫か!?・・・貴様・・・彩花に何をした!?」
既に表情が妖艶になりニヤリと卑しい微笑みを私の方に向けた彩花・・・一体何が起きていたのだろうか!?そしてこの後一体どうなってしまうのか!?
第一章 はじめての異世界転移・・・魔界へやって来たふたり END
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