第46話 第四章 アルス、ロンガ、ウィタ、ブレウィス(4)

 まあ、ヴィオラの表情はどれも破壊力高いんだけどな・・・。

「い、いや。怒ってなんかいないよ。さ、起きようか」

「うん」

 正直、ヴィオラのどの仕草も破壊力(殺傷力?)が高いので、いつまでメンタルが正常に保たれるか心配になってきたぞ。残念ながらこれが、『彼女イナイ歴イコール年齢』男の、メンタリティの低すぎる限界値ってわけだ。

 きょうのヴィオラは、ノースリーブにスカートでとても清楚なイメージだ。

「ハチ~、朝ごはん作るけどさ、余ったご飯があるからチャーハンにするよ」

 キッチンに立ってエプロンを掛けながら聞いてくる。

 この薄汚いキッチンに、女の子が立つ日が来ようとは。

 何とも言えない感慨が襲ってくる。

 しかもエプロン姿だ!

 エプロン姿ですよ?

 妄想全開モードになるのを何とか堪えた。どうも寝る前に冗談を仕掛けられた『裸エプロン』ネタを引きずっているらしい・・・。

 その後、チャーハンを一緒に食べているとヴィオラが「ねえハチ。そろそろ食材が足りないからお買いものに行きたいな」とリクエストしてくる。

 二日間没頭したから、ちょっとくらいいいよな。

 ・・・どうも美少女ってやつが絡むと、俺は小学生並みの思考回路になるらしい。

 ◇◇

 昼を過ぎた頃、いつもの商店街で食材や日用品などの買い物をひととおり済ませたので、遅い昼食も兼ねて、俺の行きつけの喫茶店に向かう。 

 入るといつもどおり店内がやや暗く、壁とか調度品の造形にエキゾチックな光景が広がる。店内は割と広い。

 四人掛けの席に腰掛け、パスタとドリア、それにコーヒーとココアを頼んだ。

 ヴィオラはココアが好きなのだ。

 俺も元々甘党なので、自宅にコーヒーや紅茶の他にココアを常備していた。徹夜するとき、頭脳のための糖分補給によく飲んでいるのだ。

 ココアを始めて飲んだ時の、ヴィオラの目の輝きは忘れない。少女漫画の様に、眼の中に『お星様』が輝いていたのだ。

 今もココアを口にして上機嫌のヴィオラだが、ちょっとここで切り出してみた。

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