第31話 第三章 知りたいとは思いませんか、文明がどこから来たのか。(12)
うれしくてついハチの正面から体を預けて、思いっきり抱きついちゃった。
「ありがとう! ハチ! その代わり、ちゃんと家事とか一生懸命やるから!」
◇◇
こうして超絶美少女との突然の同居が始まったが、もちろん俺の疑問は何一つ解決したわけではなかった。
どこから来た何者なのか?
なぜ一晩で人格が急変し、日本語まで流暢になったのか?
なぜここにいる必要があるのか?
そういえば昨夜、粘土板に惹かれたとか言っていたが、どう関係があるのか?
◇◇
そんなハチの気がかりをよそに、わたしはハチの手を引っ張って浴室に向かう。
「じゃ、まずはお洗濯から。このマシンの使い方教えて?」
まずは洗濯機の各種操作ボタン、色物は分ける、ポケットに何も無いか確認する、といったひととおりのことを教わる。
練習も兼ねて、さっそく昨日着替えた自分自身の服を洗ってみる。
特に戸惑うこともなくすんなりこなす。そりゃそうか、簡単だもんねぇ。
「出来た!っていうか・・・みんな機械がやってくれちゃうのね、すごい!」
「じゃ、次はお掃除ね!」
あれ? 結構楽しい、なんかノッてきた。
じゃあとばかりに掃除機のノズルの使い方とか、機内のゴミの廃棄方法などを教わる。
トレーナー姿のままピンクの髪を揺らして、フローリングやマット等あちこちノズルを変えながら掃除機をかけて回って、最後に溜まったゴミを排出し分別する。
これも簡単だ。
「ねえ、どう? ちゃんと出来てるかなあ?」
途中でにっこり微笑んで、ピースを向ける。
そのとたん、運悪くハチにぶつかっちゃって。
「きゃっ」
わたしが尻餅をついちゃうと、ハチが覆いかぶさるように上から倒れこんできた。
「ご、ごめん!」
ハチは慌てて体を起こして立ち上がろうとするが、そこを咄嗟に引き留め、彼のすぐ下になった唇でささやく。
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