第45話 王位継承候補
「ディアナ嬢、だな」
「は、はい?」
複数のごろつき……いや、かなりの手練れ。
ごろつきに扮した、何か?
リブラは、警戒のレベルを上げる。
「キミが王位継承候補に挙がっていると聞いてね。悪いが、不確定要素は早めに排除させて貰う事にした」
「挙がってませんけど?!!」
酷い言いがかりだ。
リブラを堪能していた至福の時間が、一気に覚めた。
ディアナが、予想の斜め上を行く展開に、青ざめる。
会長……
リブラは、天真爛漫なリリーを、珍しく呪う。
幸せな時間を邪魔された恨みも少し含めて。
「すみませんが……貴方達はお強い。手加減できません……死ぬのが嫌なら、立ち去って頂けますか?」
一応交渉を試みるが。
「キミの事も調べがついている。その対策は十分だ。私達の中に、火属性魔法の
勿論、違う。
能力が偏っている
逃げても良いのだが。
それでディアナが危険に晒される事は避けたい。
「待って……リブラさんは関係ない。殺すのなら、私だけを」
「それはできませんな。そっちのガキも、殺す。何か喋られても困るんでね」
リブラは溜息をつくと、そっとディアナの手を取り、
「ディアナさん……貴方は私が護ります……だから、下がっていて下さい」
あいつらは……殺すから。
「私も……戦います」
「無理だよ。ディアナさんは、戦えない」
「私だって……!」
ディアナは魔力を練ろうとして……
?!
魔法が……使えない?!
どよ……
それは、荒くれ達も同じ。
動揺が広がる。
「どうした、お前達?」
違和感を感じ取り、お頭っぽい男が叫ぶ。
「ま……魔法が使えません!」
「な?!」
リブラの
対象は、魔法を使えない。
尚、本来敵味方の区別は可能なのだが、意図的にディアナの魔法も封じている。
ディアナを危険に晒さない為だ。
「ち……魔物め!」
魔法を諦め、迫り来る荒くれ。
ビュッ
リブラの触手が跳び、荒くれ達を攻撃するが。
荒くれらしからぬ動きで、あっさり躱すと、そのまま速度を緩めず突撃。
リブラは口の中で毒づくと、
「天突く牙は、万物を砕かん──
風の刃が、次々と刺客の命を奪う。
風属性魔法の
「……ま、魔法だと?!」
男が叫ぶ。
無理も無い。
リブラは完璧超人だが……魔法が使えない。
それが、学園での評価。
しかも、
戦略的不利……ならば、体制を立て直し……
男が身を翻し、
「白き雪原の主よ、御心のままにその牙を──
ギジ
高範囲にまき散らされた、白い死。
水属性魔法、
男は絶命する。
……さて。
……嫌われただろうな、恐れられただろうな。
圧倒的力は、恐怖しか生まない。
おそるおそる、リブラがディアナを見ると。
ディアナは、恍惚とした表情を浮かべ、
「あーん、やっぱり好き過ぎます!リブラ様、格好良い!好き!抱いて!」
リブラに抱きつく。
??!
「ほ……発作かね……?」
「違います……発作とか、全部嘘です……リブラ様、貴方の事を思い浮かべると……何も手につかず……御願いします!貴方の片隅で良い……私に居場所を下さい!」
リブラは、一瞬あっけにとられ……
苦笑し。
「ディアナさん、私もですよ。貴方は、非常に愛らしい。私で良ければ、交際させて下さい」
「……はい……御願いします……」
ディアナは、胸が幸せで満たされ。
そして、何となく、悟った。
今日、自分は……少女の自分に、さよならするのだと。
貴族にとって、貞操は大切。
それでも……今日、自分は、この人に……
「……それと、一応言っておきますが……交際は、清く正しく御願いします。これでも、神職の息子、ふしだらな真似は許しません」
「……はい」
ディアナは、思い出した。
リブラが、超がつく程の、
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