第17話 部活

「それで、どんな部活を作るんだ?」


ルシフが尋ねる。


尚、レオはウィザーズボール部を辞め、試合だけ助っ人で参加する事にした。

もともと、試合しか出ていないし。


「それは、今からみんなで考えるのよ!」


リリーが人差し指で順に皆を指し示す。


「あの……花壇の世話とか……したいです」


スピカの提案。


「あたいは生活費稼がないといけないからな。ちょくちょく抜けて、冒険者稼業をさせて貰うぜ」


レオ。


「誰かのお陰で生徒会が忙しいのでね。幽霊部員の様になりそうだね」


リブラ。


「レオが時々やっている様な助っ人、我も興味が有るな。特に目的が無いのであれば、助っ人や問題解決をする部活、というのはどうだ?生徒会役員が3人も参加しておるしな」


シリウスの提案。


「この学園に知り合いがいる。彼女なら名案が有るかも知れない」


ルシフの丸投げ。


「なるほど、なるほど。個人的には、シリウスの提案が面白いわね。とりあえず、ルシフの知り合いの話も聞いてみましょうか」


リリーは笑顔でそう言った。


--


「え、ルシフ様?!」


慌てて跪こうとするルピナスを、ルシフが慌てて止める。

ルピナスに事情を話し、


「すみません……特に提案できる様な事は無いですね……」


「そうね……なら、あと一人くらい聞いてみましょうか。行くわよ」


「え」


さり気なく、リリーがルピナスの腕をホールド。


「困ります……私は実家の手伝いが……」


「そうか……ルピナスと一緒に部活できれば楽しいと思ったんだが」


「行きます」


ルシフの言葉に、ルピナスがリリーの腕を掴み返す。


「ルシフさん、ルピナスさんと知り合いだったんですね」


「ああ、同郷でな。幼馴染なんだ」


「なるほどです……本当は、生徒会会計に指名されたのは、彼女だったんです。会計としての才能は、ルピナスさんの方が遥かに高い……」


スピカが洩らし、


「私は、スピカがいてくれて良かったよ。賤混者ハーフが生徒会なんて前例が無かったからね。一人では心細かった」


リブラが苦笑し、


「スピカは、十二分に会計の仕事をしてくれているわ」


リリーが微笑み、


「……十二分て……本当に会計以外の仕事が混ざりますよね。9割くらい」


スピカも苦笑する。

それ、十二分じゃ足りないのでは。


「生徒会、辞退して正解だったようですね」


ルピナスが困惑した笑みを浮かべた。


--


リリーが向かった先は、Aクラス。

クラスメートの勉強に付き合っていたディアナを連れ出し、


「あの……何か致しましたでしょうか……これは一体……」


困惑するディアナに、ルシフが事情を説明。


「あの、私も、シリウスさんの案で良いかと思いますわ。みなさんにぴったりかと」


ディアナが、微笑んで言う。


「お花のお世話も、部活動の一環にできますかね」


スピカが期待を込めた声を出す。


「なるほど……決まったようね。此処にいる8人で、新部を立ち上げるわよ!」


「え」


リリーの宣言に、ディアナが乾いた声を出す。

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