瑠花視点:パート9

無事退院し、家に帰ると母親が待ち構えていた。

いつもより体の傷が多い。


「なんで刺されるようなことをしたの。」


あー……、痛めつけられるのか……。

その予想の通り、髪を引っ張られ引きずられる。

部屋に乱暴に投げ入れられる。

手にはベルトを持っている。


「後ろ向きなさい。」


このままやられっぱなしでいいのか?

さすがに我慢の限界じゃないか?

私の中で何かが切れた。


「ふざけんな。」


母親に思いっきり突進する。

反抗されることは頭に無かったようで尻もちをつく。


「もういい加減にしろよ。私のせいじゃないでしょ?」


手に持ってたベルトをひったくり、母親に向かって思いっきり振り下ろす。

何回も何回も振り下ろす。

腕で守ることしか出来ない母親。

何時間くらいやっていたのだろうか。

バタンと荒々しく玄関のドアが開く。

ベルトを持ったまま、下の階に降りる。

まさか私が出迎えるなんて、しかも手にベルトを持ってるなんて想像だにしてない父親も困惑した表情を浮かべる。


「瑠花お前何して……。」


「あんたがお母さんにいつもしてること。」


「何ふざけ……。」


ベルトを床に叩きつける。


「わ、分かった。話し合おう。な?」


「……これから2つ約束してくれるなら。」


「な、なんだ。」


「1つ、暴力は禁止。2つ私はこの家を出ていくけど学校の授業料とか必要なお金は全て用意してね。」


「それはいくらなんでも……。」


またピシッとベルトを床に叩きつける。


「わ か っ た ?」


「分かった!!分かった!!!」


自分の部屋に戻り、必要最低限の着替えを用意し、梨友の家に向かう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る