救い無き歪み
ネルシア
音亜(ねあ)視点:パート1
小学生の時、隣にある家族が引っ越してきた。
どうせそんなに関係無いだろうと思っていた。
ある日塾の帰りに、公園のブランコにアザだらけになっている女の子を見つけた。
どうにも放っておけず、近付いて声をかける。
「怪我してるの……?大丈夫……?」
突然声をかけられ、ビクリと体を震わせた。
ゆっくりと振り向き、顔をこちらに向ける。
その顔も青い痣がいくつかあった。
「大丈夫……。私は大丈夫……。」
言い聞かせるように繰り返し返事をする。
「私音亜っていうの。あなたは?」
「……瑠花(るか)。」
「瑠花ちゃんね!!よろしく!!」
握手しようとするとそれを断るように首を振る。
「私今腕が痛いから……。」
見ると確かに腕にも痣の跡がついていた。
普通じゃない。
誰かに言わないと。
でも誰に?
考えを巡らせていると、釘を刺されてしまった。
「私が痣だらけなのは内緒だからね。」
「わかった……。帰ろ?」
顔が暗くなる瑠花。
諦めたように立ち上がり、一緒に帰ることになった。
家まで行くと、その子が隣の家の子だということがわかった。
次の日、学校で転入生がこのクラスに入ると話題になった。
入ってきたその子は隣に引っ越してきた瑠花だった。
私はとにかく瑠花の側を離れないようにした。
家庭内事情に色々と探りを入れるが、そこは何も答えてくれなかった。
先生も薄々は気付いているものの、どうすることも出来ず、ただ見守るしか無かった。
それから中学、高校と一緒に育ち、今では仲が良いと自負している。
現在、高校生として何一つ不自由なく暮らしている。
教室に入り、瑠花の机に向かう。
「瑠花!!おはよ!!」
顔を向けてくれるだけであぁ、私にはこの子がいるんだと実感するのだった。
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