生意気な後輩

雨世界

1 私は、ただの可愛い後輩ですか?

 生意気な後輩


 プロローグ


 私は、ただの可愛い後輩ですか?


 本編

 

 ……先輩。大好きです。(愛してます)


「おっす。先輩。おはようございます!」

 椎名鉢が一人で高校の廊下を歩いていると、後ろからそんな風にして、誰かに肩を軽く叩かれながら、声をかけられた。

 鉢はゆっくりと後ろを向く。(まあ、そんなことをする奴は一人くらいしか思いつかないので、だいたいは振り向く前から予想はついていたのだけど……)

 するとそこには、鉢の一個下の後輩の高校一年生の女子生徒、高野初花がにっこりとした笑顔で立っていた。


「どうしたんですか、先輩? 朝から元気ないですね」

 と鉢の横に移動しながら、初花は言う。

「お前が元気すぎるんだよ」

 鉢は言う。

「まあ、私は元気だけが取り柄ですから」

 明るい笑顔で笑って初花は言う。


 いつも明るくて元気で、そして健康的な短い黒髪をした初花は、裏表のない性格をしていて、誰とでもすぐに仲良くなれるような、そんな(あまり他人と喋らない、一人が好きで、いわゆる暗い性格をした)鉢とは正反対の性格をした女子生徒だった。


「先輩。今日、放課後部活でますか?」

 初花は言う。

「出るよ。暇だし」あくびをしながら鉢は言う。

「先輩でるんだ。じゃあ私も部活に出ようかな?」少し考えるような素振りをして初花は言う。

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