第5話 実戦を想定しているらしい。



「ヨルン、ちょっとそこの森まで行ってみようかと思うんだけど」


 えっ?

 そこの森といわれて僕の頭に浮かんだのは、魔物が出るという話の森。


 しかも森の名前が、「迷いの」と名付けられているため、非常に迷いやすい。


 僕は慌てて、彼女を止めた。


「危ないですよ。そんな所にはいかせられません!」

「でも、実戦経験を積まないと強くならないわ」

「だから、強くならなくてもいいんですってば、あなたは貴族なんですからっ」


 そんな風に口ケンカするんだけど、彼女はちっとも僕の言う事をきいてくれない。

 挙句の果てに、一人でとびだしていくものだから、あわてて追いかける事になった。


 結果、さすがに森に行く前に大人に見つかって、叱られました。

 反対してた僕まで。


 理不尽。


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