臆面もない日々ー私たち夫婦の物語ー
たまきみさえ
夫のことを、書きます。
ある年のお正月早々、私たちのメールやり取りが始まった。
出会ったのは、前の年の……秋? もう冬になっていたかな。
インターネットの中に彼を見つけた。
私からのアプローチをずっと無視していたのに。
1カ月以上経って突然届いたメール、驚いた。
私には興味がないのかと思っていたから。
私の方が3つも年上だったし。
自分からメールしてくれたにもかかわらず、
それは前代未聞なくらい素っ気ない内容で、
「愛想がなくてすみません」とまで最後に書いてあった。
でも、連絡をもらったことがうれしかったので、
それが伝わるような返事を出した。
そして、すぐにもお会いしたいけど、またメールでもいいので、
連絡をくださいね、と。
夫は、会いたくはないようだった(笑)。
自分は異性から誘いを受けるようなタイプじゃないとか言って、
私に警戒心すら抱いていたみたいだ。
(自分でメールくれたのに(笑))。
結局、そういう慎重すぎるところを、ヘンな男と思うか、
理屈っぽいところがおもしろいと思うか。
私の場合は後者だったので、ガゼン、夫に興味がわいた。
理屈っぽい人っていうのは、
こっちから見て考え方とか発想にいちいち「!?」があって、飽きない。
たぶん、私も多少理屈っぽいところがあって、
女の場合はそれが好まれないこともあるのだけど、
この際、こっちのことは棚に上げて、
夫のこの理屈につきあいたいと思ってしまった。
そうやって、私たちは出会いをあたため、
今、こうして心地よく収まり合って、幸せに暮らしている。
このトシにして、こんな居心地のいい相手と巡り会えるなんて。
いや、このトシまで待ったから、夫と巡り会えたのかな。
それまで、いろいろな恋愛があって、いろいろな終わりがあった。
いくつかは結婚直前まで行きながら、おもしろいように破綻した。
実際、私のこういう話を聞いた人は、「悪いけど、おもしろい」と言った。
けど、そういう全部が、終わるべくして終わっていたのだと、今はわかる。
だって、じゃないと、今の夫と出会えなかったのだから。
だから、運命(=神様?)には感謝している。
夫にも、夫の両親にも。そして、私の両親にも。
私たちが、あまり違わない時期に生まれたから、夫婦になれた。
(私はもうちょっと遅く生まれてもよかったんだけど!)
そして、私がこのトシになっていたから、
夫のよさが人一倍ありがたく味わえるのだと思いたい。
10年前の私だったら、出会っていても見逃していたかもしれない気がする。
生まれて来てくれてありがとう。
今ありのままの、そういうあなたになってくれてありがとう。
そして、出会ってくれて、ありがとう。
私を受け入れ、選んでくれてありがとう。
ずっと変わらず愛してくれて、ありがとう。
そういうふうに、夫に言いたい。
いつも、そう思っている。
夫は私にとって、やっと探し当てた宝物。
神様と、夫の両親と、夫自身によって生み出された、
奇跡みたいに尊いもの。
私は、夫のためにも、一生懸命生きよう。
この贈り物を大切にしよう。
たぶん、私たちに、もう子供はできない。
私たち夫婦の日々の幸せを、
思い出としてのちのち語る人はいないわけだ。
だから、私たちが幸せに連れ添った証しとして、
この記録を残したいと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます